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観測者の足跡

観測者ハ足跡ヲ残シタ。

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劇場版PSYCHO-PASS

 
2015年1月9日に公開された劇場版PSYCHO-PASS。
公開三週目にして、漸くと言った所ですが劇場へ行って観て参りました!!

この日をどれほど首を長くして待っていた事かw
思えばこの週にしようと決めたのは、来場者特典の内容が発表された時でしょうかねぇ…。
やはりこーがみファンとしては、たった一度のチャンス。これを逃す手はないと思い、公開初週の熱いビックウェーブを指を咥えて見ておりました(笑

正直、決めた時には「15日の待機時間」がどれほど長いものであるかという事を、あまり的確に捉えられていなかったと言いますか…。ちゃんと耐えられると思っていたんですヨ(^_^;)
でも、時間という物は早く過ぎてほしい時程遅く感じるものでして。日に日に劇場版の情報が漏れ聞こえてくるので、如何に地雷を踏んでしまわないか、自分の中で許容出来る限りのネタバレで納めるかが大変でした。如何せん、ネット断ちをして過ごすという事は難しい日常ですし。別方向の欲しい情報もあったりで、完璧に断ってネタバレを防ぐというのは無理というもので…。
挙句深刻なこーがみさん不足。。。
不足を補いたくても、普段足を運ぶ支部も動画サイトも劇場版のネタだらけで、うっかり何処で踏んでしまうか解らない、まさに地雷原。
禁欲生活と銘打って臨んだものの、公開二週目辺りでかなりの枯渇状態でした。その為、暇を見ては一期を流し見して、欲求を薄めつつ騙し騙しやったものです。
自分にとっては拷問期間ですよ(苦笑

その上、更に追い打ちを掛けたのは物販品薄という「パンフ問題」。
公開初週からあちこちの上映館で物販が即刻sold-out状態。
都市部のみならず地方でも同様の現象が発生し、限定グッズに限らずパンフ自体も増刷待ちという状態になってました。(ツイッターでは公式の方にいつ重版するのか、問い合わせが殺到してましたねぇ)
二週目直前で重版分が出荷されましたが、それもまた品薄になるという。
それは私の行った上映館も例に漏れず…。
初版分は一週目で、重版分も二週目の半ば前に、品切れ状態になってました。
これは非常にマズい状態が続いているな…と思いつつ、状況を逐一把握。どうしてもその日に入手できなければ、別ルートから確保すべきかと保険を掛けたりもして。ギリギリまで様子見しつつ、どうやら週末に入荷し在庫は確保されている!と判断して臨みました。
(もう此処まで言うと大袈裟すぎぃと思われそうですが、ファンとして、何より一回しか実現できそうにないチャンスなので、これはなかなかの死活問題なのですよ)

もしかして…の不安が晴れないまま、それでも漸く劇場版をこの目で見届けられるという期待感と、物語の結末がどうなっているのか確かめるのが怖いという少しの恐怖と。色々なものを感じながら、劇場へ行ってきました。

結果として、無事にパンフはゲット出来ましたし、三週目来場者特典である「設定集Ⅲ」も入手出来ました。これには思わずホッと胸を撫で下ろしましたよ(^^ゞ

ちょっと余談なんですけど。物販コーナーは、流石に三週目とあって種類自体は相当減ってました。品切れのまま入荷未定状態の物が殆どのように思えましたけど、これはまぁ三週目を選んだ運命だと思い、パンフが無事に手に入っただけでも大満足だろうよ、とw
でも幾つかの物販の中でキャラバッチコレクションが販売中で、このくらいならお手頃だし良いかなぁと運試しのつもりで一つ購入。
朱ちゃん、こーがみさん、ギノさん、コミッサちゃん、シビュラマーク、公安局シンボル、ドミネーター、犯罪係数オーバー300という8種類の中から1種類が入っているというガチャシステムのようなランダムグッズ。
キャラが当たらなくてもデザインお洒落だし、どれでもこい!!と中身を確認したら、見事にこーがみさんを引き当てるという奇跡が起きたのは此処だけの話です。
 
いや、もうほんと。開けた自分でもびっくり…(笑
こーがみさんじゃまいか!!と、思わず息を呑みました。
まさか8分の1の確率を一発で引き当てるとは思っていなかったので…。
長かった禁欲生活から解放されて、こーがみさん欲しい執念が無意識に発動しちゃったのか、それとも劇中で朱ちゃんが分析した通り、人を引き寄せるこーがみさんの引力に導かれたのか、定かじゃありませんけどね…。

ぐへへ。お化粧ポーチに付けさせて頂きます((w´ω`w))
(←き、気が付いたら、戦利品がこーがみさんだらけになってて嬉しい悲鳴)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 さてさて、随分個人的な行動の話をしてしまいましたが、此処からはちゃんと感想書きます!劇中の!!
ガッツリネタバレしますので、これから見ようと思っておられる方がいらっしゃいましたらすぐに「そっとじ」して下さいね。
私の中でコパスを語るなら考察を入れない訳にはいかないんですが。ですが…。。。
残念ながらワンチャンしか鑑賞チャンスが無かったので、ストーリーの深い部分に尽いての考察は今回は見送ります。一回だと初見の衝撃で隅々までストーリーを拾いきるのは無理ぽでした(^_^;)
これが三回くらい見られたなら、もうちょっと深い感想書けそうなんだけど。現時点で無理なものは無理なので、深い考察は今後何度も見て感想を書かれた方の改めて読ませて頂き、そこから自分なりに考えたり掘り下げたりしてみたいなぁと思ってます。
と言いましても、今回それほど難しい内容じゃなかったように感じましたよ。
割と序盤で関係図や黒幕も解ってましたし。深くまで理解しないと到達できないような論理的何かはそれほど前面に出ていなかったように思います。少なくとも、これまでのサイコパスを見てきて、あれやこれやと考察してきた感じからすると、十分理解できる内容や展開だったのでは?と思います。
年末の黒幕討論会でよっぴーが言っていましたが、「サイコパス知らない人間でもこの劇場版でちゃんと解るような内容になっている」通り、起承転結がきちんと描かれてますからこの劇場版だけを切り取っても「始まって終わる」という一連の流れは明確だったかと。
今回は『頭脳で考えさせる』というよりは、どちらかと言うと『展開で魅せる』という方に重きが置かれていたように感じたんですよね。
なので頭をフル回転させる必要も無く。純粋に目の前で起こっていく展開や聞こえてくる台詞に集中出来ました。
何より、スケールが!!
迫力が!!!
段違いでした!!!
テレビ放映とは全然違う、踏み込んだ表現。心理。アクション。そして人間模様。
もう113分、興奮しっぱなし。手に汗握り過ぎで、息する事も忘れそうでした(笑


まず触れたいのは、こーがみさん!!
カッコよかったぁぁぁ!!!
執行官時代から更に筋肉量が上がって、まさにソルジャー。
身のこなしも戦場での嗅覚もサバイバルの知識も、段違いの領域になってて思わず笑っちゃいました。ハイスペッカーが更にハイパーなスペッカーになっちゃってる!、とw

密入国してきたテロリストの脳内記憶にこーがみさんが居たことや、日本のセキュリティシステムの穴を掻い潜る情報を知り得ていた事などから、こーがみさん自身が逃亡犯になった事でテロリストになってしまったのではないか?と公開前からささやかれてましたね。
ラスボス狡噛説なんてあったりして(苦笑
私自身、彼はどこまでいっても自分の信じた正義を貫き通そうとする人間なんだと思っていたので、ラスボスになって朱ちゃんと決戦なんて展開は、これまでのシーズンで築き上げた『狡噛慎也』という人間の土台そのものが全て吹っ飛んでしまうと読んでいたんですが。正直、二期はエア噛さんの出番しか無くて、実質一期終わりから彼の消息含め、心理状態がどうなっているのかさっぱり解りませんでしたから、槙島聖護を殺害した事でそっちへ寄って行ってしまう可能性もないとは言い切れなかった。
朱ちゃんの信じるこーがみさんは、一期の時と変わらない。それは二期でも表現されてましたね。自分の中に自分の信じる正義があって、誰かを貶めたり、誰かを動かして犯罪に手を染めるような卑劣な人間じゃ無かった訳で。歩く道が違っても、信念が違っても、悪を許せない思いは同じである筈。
それを確かめるために単身シーアンに乗りこんでいったんですな。なので朱ちゃんの疑念やそれは何かの間違いだと信じたい気持ちは、ものすごーく解りました。
だってこーがみさん、利己的なテロ行為なんて行えるような人間じゃないですもん。でも、環境や経験が変えてしまったかもしれない。その不安感は公開前から感じていただけに、序盤の朱ちゃんへの感情移入は半端無かったです。(上手い所突いてくる展開だわー…と内心舌を巻きました)

戦闘激戦区で目撃した彼を追いかけて、衝動的に接触を試みた朱ちゃん。もう、再会シーンヤバすぎですね( ´艸`)
朱ちゃん、すんごく強くなってて(笑
シーアン入りする前にドローン相手に組み手をしてましたが、一期の頃じゃ考えられないような動きに驚きました。
その身のこなしの素早さを武器に、こーがみさんと一触即発の肉弾戦。次いで銃を突きつけ合っての「お久しぶりです、狡噛さん」「まさかこんな所までやって来るとはな」のやり取りに思わず萌えw
この二人ならではの再会の挨拶ですよね~(ノ∀`)・゚・。
逮捕します、と銃を構えたままの朱ちゃんに対し、途端無防備に銃を下ろして構えを解き座り込むこーがみさん。この態度にこーがみさんの優しさを感じちゃいました。
追いかけられている筈の相手に銃を突き付けられているのに、その構えを自ら解いて座り込むなんて。例え朱ちゃんに発砲する用意があっても、自分から朱ちゃんに発砲するような事はない。その気はないという意思表示に、時間を隔てても変わらない信頼関係みたいなものを感じちゃったんですけど…w
久々のこーがみさんの朱ちゃんに対する「監視官」呼び、私結構あの呼び方好きなんであんなに連呼してくれてw 俺得でニヤニヤしっぱなしでした。(うわーなんか一期の頃に戻ったみたい!って感じがすごく懐かしくて)
そこから多脚戦車の追跡を巻く展開は更に痺れる!!
「俺を止めるか見逃すか、どっちかだ!!」と決断を迫ってからの「貴方と暫く行動を共にします」「おいおい…」「捜査の為です」「…解ったよ、監視官」の会話は熱いですねぇ~。(若干うろ覚えなのはご愛嬌という事で)

何とかニコラス率いる憲兵隊の猛追を振り切って逃げた二人が向かった先は、こーがみさんが身を寄せている反政府組織のいる拠点キャンプ。アンコールワットだったんですね、あそこ。
そこでこーがみさんが何故反政府組織に身を寄せているのか、その経緯が明かされましたね。
危ない橋を渡って日本を脱出し、外国で静かに暮らせる場所を探していたけれど、シビュラの檻の外は法も秩序も安息も何処にもない、紛争激戦区だらけだった。
流れ流れて辿りついたシーアンの地で、ハン議長を主導とする政府組織の存在と、それらがシビュラシステムを導入しこの地を掌握した事実を知って、民主化運動のゲリラ組織に戦闘指南役として加担するようになっていった。
当然、こーがみさん自身、ハン議長に会った事は無いでしょうし、シャンバラフロートの中に入った事も無いでしょうが、「独裁者の犯罪係数ってのはどのくらいなんだろうな…」という言葉通り、ハン議長の動向やシビュラを導入した意図に尽いて、何か後ろ暗い事情があると的確に読み当てていました。
まだ内紛で対立していた頃のハン議長の動向と、今の動向を照らし合わせて、その矛盾や違和感から探り当てた「刑事の勘」というやつですね。うん、ちゃんとこーがみさんの中に「刑事」としての部分は残ってた!
この「真実を知らないにも関わらず、正確に的を射抜く洞察力」は相変わらず素晴らしい。
一期の頃のシビュラの真実然り、今回然り。

映画公開直後くらいに虚淵さんと深見さんのインタビューを読む事があって、今回のこーがみさんに尽いて、宛ても無く流れ流れた先で狡噛は大きな波に巻き込まれていく。彼は性格上行きずりの悪を見逃せない、その悪の正体を見定める為に自らも戦いへ身を投じていくんだといった話を目にしていたんですよね。
如何にもこーがみさんらしいw
詰まり、彼は変わっていなかったって事なのですな。一期の時から。
三年経っても、朱ちゃんが信じたこーがみさん通りのこーがみさんがそこには確かにいた訳で。
歪んだ理念で犯罪者になってなんていませんでしたし、今も猶、強い意志は健在で。悪を良しとしない気持ちも変わらない。
この一点が今回解った事、それが何より一番安堵した事でした。

槙島聖護に近い感性を潜在的に持っている事は事実で、不思議と人を納得させてしまう、人を惹きつけてしまう、所謂カリスマ性を持ち合わせているのもまた事実なんだと思います。でもこーがみさんはそれを快く思う所か、性に合わない、そんな先導者的素質や立場なんていらないと否定的。
デスモンドおじさんに「お前はアジテーター(扇動者)の素質がある」と、仲間になって一緒にこの世界を壊さないか?と誘われても、そんなもの死んだ方がマシな選択だと突っぱねていました。それは自身の意志に反する事だと、確固たる信念があるからこそ。

「あんたもそう思うのか?俺が槙島聖護のようになると…」
と朱ちゃんに言ったこーがみさんが少し悲しそうにも見えましたけど、彼自身に「自分は槙島とは違う」という強い意志があるうちは、恐らく槙島のようになる事は無いと思えるんですけど、この先そこの部分に何か綻びが出てしまったら…。そうじゃない確率という物が出て来てしまうのかなぁと。つくづく、こーがみさんとマキシマムって紙一重の人間性なのかもしれないと思ってしまいました…。
というのも、終盤でマキシマムの幻影が出てきた時。あの演出は予想してなかったのでなかなか驚いたんだけども、どうもあれが初めてみたものでもない感じ。
一期の時に槙島逃亡時で見た幻影とは少し違うような、亡者ならではの厄介さというか。
「死人はもう喋るな!」と怒鳴って、幻影に向かって銃をぶっ放す展開がありましたけど、あれがひょっとするとこーがみさんの中にある槙島聖護に寄った部分、共通している部分が具現化したものなのかも…?
その感情と葛藤するのは、その瞬間が初めてでは無くて、逃亡してから今に至るまでの間に幾度も繰り返されてきた自問自答だったのかもしれないなぁとね。ちょっと深読みしてしまいたくなりました。


さて、その朱ちゃんにも触れとかなくっちゃ!
二期から更に二年の月日が流れた事で、可愛いながらも大人びた雰囲気の朱ちゃん。もうちょっと時系列経ったら「ちゃん」って本格的に呼べなくなりそう(笑
肉体的な強さも頭のキレキレ感も更に磨きが掛かって、すっかり逞しくなってました。
でもちょっと気がかりなのは、どこか空虚な眼差しを見せる時があって…。
そりゃ背負った物の大きさを考えれば、それも当然のことなのかもだけど。それが痛々しく映ったりもするのですよ………。
ちゃんと心の負担、減らせてるのかなぁって。
友人の香織ちゃんが結婚と聞いてびっくりしたんだけども、一方でちゃんと会ってると解って凄く安心した。
ゆきちゃんの死以来、全然香織ちゃんと会ったりする素振りが伝わって来なかったから、もしかしたら救えなかった自責の念から、顔合わせにくくて疎遠になったりしてないかな?と心配だったんだけども、あんな風に今も会って話をしているんだと解ってね。良かった…って(^_^;)
(ノーカットシナリオには、ゆきの死以来顔が合わせにくいと吐露するシーンもありましたから余計気がかりでした…)

真意を確かめるために単身シーアンに向かったり、こーがみさんの姿を見つけるなり危険も顧みず戦場へ飛び込んで行く姿は、果敢でありながらも命知らずな危うさも感じたりして…。朱ちゃんにとって、こーがみさんの比重は今も変わらず重いのだと解ります。
こーがみさんに逃がされ、必ず何かおかしな点がある、内部から裏を探れ、それはあんたにしかできないと背中を押された朱ちゃんは、シーアンに戻ってから早速行動開始する展開も良かったですね。
というか、志恩さんの有能さが半端無いw
朱ちゃんの私物に超小型捜査端末「ダンゴムシ」を持たせてた事も、通信もままならない環境下でこっそり連絡してきた朱ちゃんの指示を的確に実行し、サイマティックスキャンの偽証を暴くとは。彼女の手際の良さがあったからこそ、絶体絶命の場面で1係が駆け付けられたのだと思います。

それにしてもハン議長が影武者で、その実態は局長同様義体化済みのシビュラだったなんて…。
朱ちゃんは憤りを隠さず「歴史に敬意を払いなさい」と言いました。
朱ちゃんにとって秩序は法の上に成り立つ物であり、その法を作り上げるのは多くの人々の「よりよい社会にしたい」という想いの積み重ねである。そう一期の時から語ってましたね。だから人々の想いが介在しないシビュラのやり方は到底受け入れられるものではない。
しかしシビュラにとって朱ちゃんの思想は理解出来ないんですよ。
人間の脳をかき集めていても、それはもう血の通った「人間」とは程遠い、中立的思想を前提にシステム化された機械でしかない。淡々と情報を処理していく機械にとって、機微という物を推し量る事は不要であるという考えだからこそ、シビュラ統治の秩序は速やかに不気味な程規則的に流れていく。それはどこか、やり方はどうであれ起きうる結果が全てなのだと言わんばかりだなぁと、シビュラシステムの危うさを改めて実感しました。
それを是正できるのは、やはり朱ちゃんしかいないのかも?
シビュラとの対等な交渉を見るのはこれで三度目ですけど、もうママ(朱ちゃん)に諭される子供(シビュラ)のようにも見えてしまってね…(^_^;)

一方でお約束のシャワーシーンも今回ばっちり挿入されてましたねw
もう毎シーズンやってるので、これはサイコパスのお決まりのシーンの一つとしても良いですよね!
劇場版とあってか、テレビ放映版より際どい角度で描写されてて。スクリーンを前に妙にドキドキ(笑
ナイスアングルでご馳走様でした♪

それと、これは個人的な着眼点なんですが。
紛争地帯から潜伏先のキャンプに戻る際、車中で渡したのかこーがみさんの上着を朱ちゃんが着ていましたね。公安局の人間である事を隠すために着せたといった所でしょうが、激しく萌えました(笑
そう思った狡朱ファンも少なくないのでは?w
  
  

さて、今度はギノさんに尽いても言及させて下さい。
今回かなり出番が用意されていたギノさんこと、「ポニちか」さん(笑
んまー、見事なまでにカッコよかった!!
冒頭のテロリスト制圧からのエリミネーターぶっ放しにまず痺れーの、朱ちゃんとこーがみさんの大ピンチにヘリから強襲型ドミネでニコラスをエリミネートしちゃう射撃センスに痺れーの(のじさんがラジオで言ってた『ギノは射撃上手いんだよっ♪』って言ってた通りの腕前に拍手)、こーがみさん一発殴ってそれでも逃がした心意気に痺れーのでw
正直ギノさんシーンは全部痺れるものでした。
特に最後のこーがみさんを逃がすシーン。
お前には借りがあると言って確保せず逃走を促したギノさんは、「もう二度と俺たちの前に現れるな」と言い、これ以上朱ちゃんに心理的負担を掛けてくれるなと釘を刺しました。
これをこのままの意味で受け取ると、随分と辛辣でシビアな会話だ…!と思えるんですが。まんまの意味じゃないんじゃないかなーってのが私の感じた印象。
暗喩と言うべきか。
こーがみさんが朱ちゃんやギノさんの前に現れるという事は、彼が起こした槙島殺害事件に於いて1係は捜査の為に追わなければならなくなる。最悪、命のやり取りになってしまう訳ですよね。
更にことこーがみさんの事になると、朱ちゃんだって単身外国に乗りこむくらいですから、黙ってはいない。
二人の命を守るという意味での優しさだったのかなぁと。
自分達の手の届かない場所に逃げて生きていれば、少なくとも1係に手出しは出来ず、依ってシビュラがこーがみさんを殺処分する事も無い、なんてね。
それを見越して、朱ちゃんはギノさんを同行させたようにも見受けられるし、こーがみさんを追わせたんじゃなかろうかと。「俺の判断で狡噛を処分していいんだな?」という確認も、逃がすという選択肢を否定するものではない。
ただ一つ気がかりなのは、幾らドミネーターが使えない状況下であったからと言って、此処から消えろと言った時点で立派な逃走幇助ですから、ギノさんの犯罪係数に影響無かったのかしら…とちょっと心配になっちゃいました。奇しくもとっつぁんと同じような黙認ですし(^_^;)



そして狡朱に尽いても!
一期が終わってから、二期を経て。今回はこーがみさん再登場という事もあり、朱ちゃんとのやりとりが非常に多く、個人的にとっても萌え萌えさせて頂きました。
再会シーンの緊迫感も勿論ですけど、更に着目したのがキャンプに戻ってからの二人きりの会話。朱ちゃんが一番知りたかった、テロに加担したのかという疑問も無事に解消されたあの場面で、これまで成されてきた二人の会話とは違って意外だったのは,、心理的な深い部分に踏み込んだ話を二人がしていたという事。
朱ちゃんが危惧していたこーがみさんの槙島化に尽いてですね。そういう腹を割らなければなかなか踏み込めない領域で話をする二人を見ていて、これは信頼し合っているからこその会話だなぁと感心しました!
そして一番の見せ場は何と言っても、キャンプから朱ちゃんを逃がすシーン。
皆、銃を手にデスモンドおじさん率いる傭兵部隊と命がけの交戦をする中、自分だけが逃げる事に反発した朱ちゃんですが、彼女を説得するこーがみさんの台詞に何とも言えぬ力強さが!
こんな所で死ぬと思っているのか。きっと切り抜ける。だからその時は。
「もう一度、俺を捕まえにこい」
もぉぉぉ、こんなん笑みを湛えて言われたら更に惚れてまうやろぉぉぉぉ!!!(発狂
はい、と一言答えた朱ちゃんの表情は、再会を信じようとする思いと何処か寂しそうな思いとで複雑だったように見えました…おろろん。

何でしょう。この二人の関係性はなかなか一言で言い表せないと言いますか。。。
こーがみさんは自分の信念を貫いた結果、槙島を私的制裁で以て殺害してしまった。朱ちゃんは当然それを良しとは思わない。シビュラによる断罪では無く、しかしきちんと罪を償うべきだと思っているでしょうし、その一点に於いての妥協は無い。逃げる立場と追いかける側と。容疑者と刑事と。とても解り易い関係図ではあるんです。でもそこにはそれだけで済まない感情がある。それが信頼関係ですよね。ある意味「情」とも言えますが。
追う側追われる側でありながら、でもどこかお互い底抜けに信じあっている部分がある。だから焦る事も無くじっくり言葉を交わす余裕もあるんですよね。
そしてお互いがお互いに抱くイメージが明確にあって、それから変わっているのか変わっていないのかという事を意識する。世間的な立場と個人的な立場が複雑なだけにその対比の描かれ方はとても魅力的です。
今劇場版でも、その「一言で纏められない二人の関係性」がよぉく表現されていたと思います(・∀・)
こんなにもお互いの存在感がお互いにとって大きいのに、この二人異性として意識しあってないんだぜ?凄いよな…(遠い目
 
…すごく俗物的な事言いますけど、同じお部屋に二人きりで過ごす夜って今まで無かった構図なだけに、”うすいほん”が捗りそうですね(笑


 
そしてアクションシーンに尽いてですが、今作は一期スタッフが集結しているだけあって、公開前からキャラクターやストーリーの他に注目している事がありました。それがアクションですよ!サイコパスと言えば圧倒的な動きで魅せるアクションも魅力の一つ!!使用する武術は当然プンチャックシラット!もうコパスではお馴染みの武術ですよねー。
テレビ放映の時から、このシラットを使ったアクションシーンの迫力には定評があり、アクション好きな方々を惹きつけていましたけど、今回劇場版へ媒体が移動し、更にクオリティが上がった事でこのアクションの演出も格段に上昇しました。
東南アジアが舞台という事で、シラットが浸透しているという設定も不自然無く使用できるし、加えて日本舞台では出来なかった銃器、刀剣類を併用しての体術という新しい条件も解禁されたという事で、アクション好きな脚本担当深見さんは、これまで制限されて生かしきれなかった面でのアクションに相当こだわりを発揮されたよう(笑
それは見ている側に十分伝わる迫力だったかと思います!!
敵も味方もシラットで魅せる動きが展開される事もそうですが、遂に朱ちゃんまでもシラットを使うというw
着実に過去のこーがみさんと同じ歩みをしていますw


既にPVで公開されてますけど、改めてシラットの構え、かっこいぃぃぃぃぃ!!!
こーがみさんの本気スイッチが入った瞬間ですよね。

一対一は勿論、多対一も見所でした。
特にこーがみさんが傭兵二人を相手にして戦うシーン。終盤のこーがみさんとギノさんが共闘してデスモンドおじさんと戦うシーン。この二つの白兵戦に於ける怒涛の動きはまさに圧巻の一言。
動きだけじゃなくてカメラアングルまで多様な角度を取ることで、更に躍動感を演出していたように思いました。そりゃもう、息を呑んで見てましたよ。
私個人としては、それほどアクションシーンが好きという訳でもないんですが、サイコパスに関して言うと話は別ですね。この作品を、アクション抜きで語る事は出来ないと思います。
二期が頭脳主軸の流れで、アクションに物足りなさを感じていただけに、劇場版で爆発させたアクションに「これを待ってた!」と殊更強く思ったのもある思いますが(^^ゞ

あとあれですね、クレジットで「日本プンチャックシラット協会」の名前を見た時は、人知れずグッときてました。本腰入れてる感がビシビシ伝わってきて!
何でもシラット界で1位2位の方をIGにお呼びして動きの取材をされたんだとか。この辺りは一期でも取材で招いて動きを習ったという話がありますけど、今回は武器を持っての動きもしっかりやってもらったそうで。何倍も上がった精度も頷けます。

その銃火器に関して言うと、今回協力していた田村装備開発さん。パンフの方にどういう会社なのか表記されているのでもう詳しくは言いませんが、銃火器に関してかなり細部まで関わられたそうで。年末の黒幕討論会の時点で、実は監督さんからその手のお話はあったんですよ。こういう会社に協力してもらって、銃火器を用いた戦闘シーンのリアリティをとことん追求してますよって。するとニコ生だったので閲覧ユーザーが一斉に田村装備開発さんに検索を掛けて、放送時間中にアクセス集中でサイトに繋がりにくくなるという事態もありましたので、よぉく覚えてます(笑

更に更に。今回今までに無かった戦闘アクションとして車の使用もありました。ドリフトばりばりのカーアクションまで追加されてる事に、欲しかったアクション要素を出来る限りこれでもかと詰め込んだな!とw でも詰め込み過ぎてぎゅうぎゅうって感じじゃない。ちゃんとその場面場面で必要なツールとして新しいアクションが挿入されているんですよね。丁度いい塩梅の詰め方で、流石だなぁと鑑賞中に何度思った事か(笑

サイコパスの魅力の一つと言っていいアクションの充実具合は100点満点と言っていいのではないでしょうか。



さて、話の方向性を少し変えて、今回のストーリーの主軸でもあった劇場版に於けるシビュラに尽いても少し。
海外が舞台という事で、シビュラシステムを国家も法も機能していない地域に輸出したという流れから、今回の物語がスタートしたわけですが、当初からこの説明を見ていて「輸出」という単語に少し疑問を持ってました。
システムを輸出するという事は、あの世界での日本を組み立てている社会構造を他の国や地域にも適用させるという事ですよね。
シビュラの神託を元に、人々の生活や行動、思想に至るまでを一括管理する事で、秩序を維持する。これは今まで散々表現されてきた事ですが、それを外国に適用するというのは、荷物を外へ運ぶというような簡単な物ではない訳ですな。
そもそもシビュラの所在はどうなのか?
シビュラシステムという複雑なシステムは二つ以上存在してはならない、というのは二期を経て解った事ですよね。シビュラがシビュラを裁くという可能性があっては、シビュラ自身にとって不都合でしかない。自らのシステム維持に不都合な状況をわざわざ作り出すなんて事は当然する筈ありませんから、「この世にシビュラは一つでなければならない」というのは大前提だと思われます。しかしシステムを輸出するとなれば、国外でもサイマティックスキャンを使用して色相や犯罪係数の割り出し、職業適性などの福利厚生を将来的に視野に入れて、全く同じ福祉支援システムとして運用し国を統治するという事を狙っているんだと思います。
シビュラを量産する事は出来ない。でもシステムを国外にも適用し、シビュラはその触手を伸ばしたい。その解釈から、輸出する上でシビュラの立ち位置と言う物が気になっておりました。

んで、今回判明した事として、シビュラの量産はまずあり得ない。シャンバラフロートで活用されているシステムの解析は、全て一旦、日本のシビュラシステムへと送られそこを経由する事で割り出しが行われているようですね。
常に演算処理を待ち状態で大量のタスクを抱えたシステムが、更に外国のデータをも引きうける。スペック的にオーバーフローとかならないんでしょうかね(苦笑
常に圧迫されているからこそ、二期にて鹿矛囲くんのテロであっという間にパンク寸前に追い詰められてしまった事はまだ記憶に新しいかと。
それともあれかな。この二年の間にアップロードして許容量が向上した、とかでしょうかw
更に、遠く離れた異国の地を統治する上で、シビュラは指導者的官僚を既に送りこんでいた。
それがハン議長だったんですな。
本人は疾うに殺害され、誰も知らない間にすり替わられていた。
肝心の脳味噌は行き来する飛行機で定期的に”交換”されていたようです。
シビュラの仕組み上仕方ないとはいえ、何とも律儀なシビュラさん(笑

まだ一回しか観ていない為、細部まで把握する事が出来てないんですけど、ニコラス以下憲兵達のサイマティックスキャンデータの改ざんをシビュラはどうやら知っていた様子。知った上で放置していた、即ち黙認していたんですよね。
それはシステム運用をあの地に浸透させるうえで、必要な黙認であったとシビュラは語ってました。
これまでとはまるで違う法規システムや秩序を紛争地域にきちんと根付かせるには、様々な膿や毒を運用に差し支えないまでに出す必要があった。その膿出しの為に、ニコラス達の暗躍は利用価値があったと。
だってスキャンデータをシビュラに悟られず改ざんするなんて、相当難しい事は一期で弥生ちゃんが言ってましたよね。

憲兵達の犯罪係数が本来300を越えているにも関わらず断罪の域から外れていたのは、味方を射殺しない為の軍用システムを逆手に取ったものでした。(この辺は実は二期でも似たような状況ありましたよね。軍用ドローン工場で)
軍用ドローンの掃討システムは、敵を感知すると同時にサイマティックスキャンを行い、その犯罪係数を元に攻撃をするという一連構造のようで、味方として除外登録している相手を視野に入れると自動的にスキャンすら解除されてしまう。
その人間の犯罪係数が実際の所どのくらいなのか、見た目では判断できませんし、まだ日本のように四方八方からシビュラに監視されている体制も整っていない段階の現地では、このくらいの回避工作で十分掻い潜れるといった所でしょうかね。
勿論、一番は「シビュラが黙認していた」という部分が大きいんでしょうけども。

そういった、通常なら通用しない筈のもので以て偽証を可能にするという現象すらも、シビュラは「普及のためには必要なものだった」と言うんですよね。
そうして、いざ内部で偽証をしていた者達をそろそろ始末しようかなって時になって、その始末を朱ちゃんがするように仕向けた。こーがみさんの姿をちらつかせる事で、単身向かうようにした。
下準備もそこからの膿出しも、シビュラの中には「シナリオ」として最初から含まれていたんでしょうかね…。恐ろしいもんです。

過去のシリーズを見ていても解りますけど、明確な悪役とは別に、正義サイドにいる悪玉。この作品自体の一番の黒幕はコイツなんじゃね?と怖々勘繰らせてくれる構図が、今回も上手い具合に際立っていたように感じます。
これですべてが丸く収まって無いから良いんだと思います。
民意無き統率に意味は無いと、辞任した上で民意を問いなさいと促した朱ちゃんですが、結局シャンバラフロートの市民はハン議長を支持する傾向が強かった事が締め括りで表現されています。まだ浸透したてのシステムであるにも関わらず、既にシビュラの恩寵を受け入れようとしている。
たった一つの変化だけで、社会全体が劇的に変化する事は有り得ない。そんなご都合主義な展開にしない所が、この作品の良い所だと思ってます。
変わったのか変わって無いのか一見よく解らないけど、変えようとした事実が大事で、その小さな変化が後々大きなものへ変わっていく可能性を孕んでいる。
一筋縄でいかないからこそ、朱ちゃんの思う「シビュラに頼らない、人の手で運用されるよりよい社会」に向けての戦いが、作品として描かれる描かれないは別にして、この世界では続いていくんだよという事を物語っているんだと思います!



そして最後にもう一つ。失われた時を求めてに尽いて。
一期のラストで、逃亡中と思われるこーがみさんの描写が少しだけ入っていました。その時、船室の机の上にあったのは「失われた時を求めて スワン家の方へ」という長編小説の第一編。
この劇場版でもその続柄として、この長編小説の最終編が登場します。
今回のストーリーの裏側には「狡噛の失われた時を求めるお話」もテーマの一つとして掲げられていたそうです。
三年間佐々山の仇を討つべく、その為だけに過ごした日々は槙島との決着を以て終わりました。復讐を終えて、身一つだけを残して、追いかけるものを昇華してしまって。その喪失感は相当大きかったと想像できます。
余談なんですが、オフプロにて虚淵さんは復讐後のこーがみさんに尽いて、「相当な喪失感の後、深くまで沈み込んで、それでもまたもう一度立ち上がって生きていくんじゃないですかねぇ」と語っておられました。
その通りだと考えると、喪失感を自分の中で受け入れた後、それでも生き残った以上生きていかなければならない。ゆっくりと時間を掛けてそこから立ち直って、復讐の為に捧げた人生を今度は自分の為に生きていく方へシフトチェンジしていったのかなぁと。
聞こえよく言えば、自分探しの旅とでも言いましょうか。
その為の「放浪」という逃亡生活の途中で、今回のシーアンの事件に繋がっていくんじゃないかと、自分は考察しました。
更にラストでも少し読み取れるかな。
再び何処かへ行こうとしているような描写で締め括られていましたから。
明確な目的地なんて無くて、ただ「失われた時を求めて」いく放浪。
と言っても、全ては想像の域であり、一回しか観てないので正しく読み取れているかは不明ですがね(^_^;)
こういう細かい部分は円盤購入後や公式解説、今後示されるだろう媒体を経てから…となりそうです。

 
長々綴ってしまいましたけど、今回の劇場版、ものすごく面白かったです!!!!
これはもう、大満足と言って良いんじゃないかなと思います。
個人的な考えですけど、正直テレビ放映アニメーションの映画化ってそれほど好きでは無いんですよ。消化不良のまま2時間が経過してしまったり、コケてしまう事も結構あったりするんで…。でもサイコパスにその偏見は当てはまりませんでしたね。身構える必要なんて全然ありませんでした。
ただただ引きこまれて、あっという間の2時間で。でも凄く見ごたえがあるから充実感もその倍凄くて。
2時間に起承転結を構築するって結構難しいと思うんですよ。でもちゃんとそこが出来ていた。土台である虚淵さんと深見さんの脚本の素晴らしさを実感しました。この二人のタッグ、本当ヤバいですw

不思議だったのは、映画を見終わった後に鳥肌がぶわーっと思い出したようにやってきた事と、なんだか夢を見ていたような気分になっていた事。
アニメの中に居た気になって、終わって現実世界に引き戻された途端、「…あぁ、今まで架空の世界を見てたんだ」って(笑
当たり前の事、何言ってんの?って思われそうですけど、鑑賞中は完全に現実を忘れていたのは事実なので。
これは劇場で見たから、でしょうかね。あの大画面とサラウンドの大音響だからこその体感かと。

最後もこーがみさん消息不明じゃなくて、ちゃんと生きている描写で締め括られているので安心して劇場を後に出来ました。もしかしたら、また生きてるか死んでるか解らないような手法を取るかもしれない…と思っていたんですが、その辺りは包み隠さずちゃんと「未来」へ繋がる演出をしてくれているのでね。

それと、思いがけず出てきた槙島先生…。
彼の存在感って凄い。何をする訳でもなく、ほんの少しの出番なのにあの存在感w
恐らく台詞無かったとしても、同じ存在感を示す一石を投じる事が出来る力を持ってますよ、彼。
一瞬出てきただけで、観てる側がざわっ…ざわっ…となる(笑
死んで猶、それだけの異彩を放つキャラも早々いませんよ。

 
これでシリーズ的に一旦終わりと囁かれていましたが、全然まだ続く、続ける事の出来る感じですよね。三期、乃至劇場版第二弾、これだけ人気ですし、演者さんたちもやる気満々ですし、総監督も「永く続く作品を」というコンセプトで立ち上げてますし、十分あり得るんじゃなかろうかと。
何より、まだまだこのスタッフさん達が作り出す珠玉の世界を味わいたいですもん!(〃>艸<)

時間と距離さえ許されるなら、もう一度観たいくらいです。でも多分、次は円盤かなぁ。
BD出たら絶対買う!!これは観終わってすぐ思った事でした。
解り易いのに何度も繰り返し観たくなる。
サイコパス知らない人にも「面白いから!」ってオススメしたくなりますよね。
まだまだ終わらない正義(システム)の連鎖と進化。
今後も注目していきたいと思います!!
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監視官常守朱

遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます!
年明け一回目のブログ更新です。
今年はのっけからPSYCHO-PASSの劇場版公開という、大きな花火を皮きりに一年がスタートしますので、2015年が益々コパスに浸れる一年であればいいなと思います。
勿論、そのほかのアニメだって沢山見させて頂きますし、声優のマモもしっかり応援していきたいと思います!
つらつらと、マイペースに更新していきますので、本年もよろしくお願い致します。



 
さて、新年のご挨拶もそこそこに、さっそく表題通りの記事を書きましょう。
1月5日発売、監視官常守朱6巻。この巻を以て、監視官常守朱(アニメでいう所の1期)が終了を迎えました。
まずはこの巻の感想から。
最初のページから「失われたバレンタインデー」という番外編で始まるわけですが、「あれ!?5巻の続きだよね!?」と思えるくらいにがらりと雰囲気が違います。
脚本家である深見氏著作の小説版PSYCHO-PASSの下巻に収録されたおまけを、コミカライズしたそうな。
バレンタインデーという、あの世界ではすっかり旧世代のイベントになってしまっている日を巡って、嘗ての1係、狡噛、佐々山、宜野座の物語です。
いやぁ、ギノさんばっちりからかわれてましたね(笑
真顔でチョコを配って回るあたり、彼のピュアさがにじみ出てますw
それを知っててからかう佐々山さんは、ギノさんを心配して(本当にそれだけが真意なのかは不明だが…)ああいうジョークをそれっぽく吹き込んだ、なんて言ってますが。名前のない怪物の方で、こーがみさんと同じくらいギノさんを気に掛けている描写もありましたから、佐々山さんにとっては良い弟分なのかなぁ~。それにしても、おもちゃにされすぎだ(笑
それをちゃんとした意味で心配するこーがみさんも律儀w
しかしまぁ、こーがみさんがバレンタインデーをちゃんと知っているとはね。当然”知識の一環”としてって感じ丸出しだけど、でもそういう事も解っている辺り博識ですな~。
最後のシーンはちょっとフラグっぽいですけどね(^_^;)
後に起こる標本事件の………。

そして番外編の後、本編(5巻の続き)が始まります。
こーがみさんは公安局から逃亡し雑賀先生の許へ 、朱ちゃん達は逃亡者狡噛を追いつつも槙島を追いかけるという展開はアニメとほぼ同じです。
唯一の違いというか、尺の関係上だと思いますがオムライス回での食事をしながら雑賀先生と引用合戦をするという展開は、流石に省かれて短縮されてましたねぇ。
アナーキストの定義とか、槙島ならどう引用して返すか。(二期でも出てくるパノプティコンなど) 
漫画であり、文字の応酬になってしまうので、これはこれでアリな短縮の仕方かもしれませんね。このシーンが好き!という方にとっては、ここのやり取りも再現してほしかったと思われるかもしれませんが(^_^;)

ハイパーオーツを狙ったバイオテロを突きとめ、その計画阻止、北陸穀倉地帯へ舞台を移しての最終局面。とっつぁんとギノさんの悲しい別れと、手に汗握る狡噛対槙島の肉弾戦!そして朱ちゃん介入してからのこーがみさん渾身の呼び捨て「朱ぇっ!!」、そしてライ麦畑で捕まえて、ですよ。(ざっくり言い過ぎてこれだけ読むとなんてストーリーだ!と思えてしまうw)

この辺りの流れはほぼアニメに沿ってますから詳しく書きませんが、漫画という媒体としてはアニメーションに引けを取らない作画力が惜しみなく注ぎ込まれております。

ライ麦畑で槙島を後ろから撃ち殺す間際の描写なんて、アニメの色彩が瞼に浮かぶくらい1コマ1コマが丁寧に描かれており、二人の戦いの決着にはとても相応しい形になっていると思います。ラストシーンの船室から、机の上におかれた火の付いた煙草と「失われた時を求めて」の本。アニメの制作サイドも、ここのシーンの意味合いは重きを置いていたそうなので、それをきちんと表現されているのも、物語の幕引きとしては非常に良かったのではないかと思います。




PSYCHO-PASSという作品にハマるようになって、最初に手にした紙媒体のコパス作品がこの「常朱」でした。原作がアニメなので、漫画はコミカライズ版という位置付けな訳ですが、表紙を見て「お、これは完成度が高そう」と思い読み始めましたが、この直感は間違っていませんでしたね。
あれよあれよと最新巻まで揃えて、いつの間にか三好先生の描くPSYCHO-PASSのファンになってました。
新人作家さんにして、これが人生初めての単行本だったそうですが、新人とは思えないくらいの作画力で。キャラクターの安定感もそうなんですが、どの角度を向いていても崩れないというか。横顔、後ろ姿、変わる表情、果ては脇役やモブまで、とても綺麗に丁寧に描かれる漫画家さんだなぁと思いました。
アクションも素晴らしく、随所にあったコパスの見せ場たる狡噛対槙島の対決シーン。シラットは非常に見栄えのする動きだそうで、それだけに絵として描写するのは大変だったのではないかなと思いますが、そこも静止絵として十分かっこ良く描かれておりました。
アニメのストーリーを追いつつ、本編ではカットされたり変更された箇所を、小説やシナリオ台本などの部分から引っ張ってきて、本編とは少し改変した展開も、個人的には好きでした。
中でも印象的だったのは二話と三話。
グレイスヒルでの出来事と、八王子のドローン工場での出来事でしょう。

グレイスヒルで色相の濁りが感知された少年を確保した際、本編ではあっさりと幕引きし、とっつぁんが少年を連行してから病室シーンへという流れでしたが、常朱ではこの場面でこーがみさんが現れ少年にドミネーターを向けて発砲するか否かを朱ちゃんに問うという物になっていました。シビュラの裁量ではなく、監視官常守朱としてあんたはどうしたいんだ、と問うた訳ですね。そこで初めて朱ちゃんは自分の正義は自分で決めるんだという事に気づきました。
そして本調子じゃないこーがみさんに肩を貸して公安局に帰るシーンで、そういう上司の下でなら猟犬では無く刑事として働けるかもしれないというあの展開と台詞に繋がるという!これは素敵な改変ですよ!グッときちゃいました。

そしてドローン工場では終盤ですね。金原を誘き出して執行する際のシーンが、弥生ちゃんからオンラインに接続されたドミネを受け取るシーンが、朱ちゃんが排気ダクトを通ってこーがみさんにドミネを届けるというシーンになっていました。
アニメの展開もスピーディーで面白いので好きなんですが、漫画版の改変はまたアニメ本編とは違った良さで好きです。
部下を信じろ!というこーがみさんの台詞も素敵ですし、朱ちゃんがドミネを届ける事で二人の絆がまた一つ強く結ばれたようにも思えます。
両方を別媒体で堪能できるという、なんとも美味しい粋な計らいかと( ̄▽ ̄)

過去編である弥生ちゃんのお話が描かれなかった代わりに小説版の番外編を漫画として描き起こして下さってたり、コパスファンには全巻通して損のないシリーズになったのではないかと思います。少なくとも、私は大満足ですよ!
特に個人的に、三好先生のこーがみさんがかっこ良過ぎて////
毎回鼻血もん!毎回心を撃ち抜かれる!毎回悶える!と、私の萌えセンサーがオーバーフローを起こしてました(笑
いや、ほんとカッコイイんですって!漂う色気と鎖骨が!!!(これ大事

読み終わって「あーあ、終わっちゃった…」感が凄くて。
もっと見てたかったなぁ…って。
そう思って、あ、自分こんなに三好先生の描くコパス好きだったんだ!って改めて気付いたという(笑
アニメ原作で漫画に起こすという流れで、「これはアタリだ!!」と胸を張って言える作品ってそれほど多く無いんですが、この方に関して言えば堂々とアタリだ!と言えますし、寧ろ三好先生が一期のコミカライズ担当で良かった!と心から思えますね。
欲を言えば、もっともっとこの方の手で漫画化されていくPSYCHO-PASSを見たかった。
またいつか、スピンオフでも良いから、三好先生の描くこーがみさんが見たいです。PSYCHO-PASSが見たいです。

本当に本当に心から「長期連載お疲れ様でした!」と「こんなにも素晴らしく描いて下さってありがとうございました!」とお伝えしたいですねぇ。

感謝と敬意を込めて。
三好先生、ありがとうございました。

PSYCHO-PASS2 最終話


PSYCHO-PASS2 第11話「What Color?」
一日遅れで視聴させて頂きました。
終わっちゃいましたね…。短いようで、やっぱり短かった1クール。
感じた事、考えた事、たっっっくさんありましたが、とりあえず無事に完走した事に、お疲れ様でした!と言いたい。
短い期間と脚本家や携わるスタッフのほぼ全員変更という、同じ作品でありながら一期と比べてかなり異なった条件下、面白かったという面と「これは一体どういう事だ!狡噛!」とギノさんばりに質問したくなるモヤモヤした面と、色々紆余曲折のあるシリーズになったかなぁという印象です。
それはこの最終話にも集約されていたように感じます。

物語の一区切りとしては、綺麗に片付いたというより、無難な着陸をしたと言った方が良いんでしょうかね。
鹿矛囲くんが達成したかった「シビュラの色を問う」という願い。それは即ち、本来裁けない集合体としてのサイコパスを裁く事により、「人」として認識されてこなかった自分自身すらも裁けるようにするという事。
WC?とシビュラに問いかける一方で、鹿矛囲くんは自らの色が何色なのか知りたかった。自分にも色が欲しかったのかもしれませんね。

この集団的サイコパスという新しい認識領域。
このシリーズの本題であったのだと思うし、これが今後のサイコパスに何らかの波及を見せそうな気がしますが、この新設定に決着がついてしまった事で、それを理解するのにかなりの時間が掛かりました。

そもそもシビュラを構成している構成員(脳)は、免罪体質者で構成されているんですよね。個人では誰一人、正確な犯罪係数を計測できない。言わばイレギュラーであり、社会の定義から逸脱してしまった側の人達。
イレギュラーをそのまま放置してはシビュラは全能性を保てないし、秩序の維持もできないことから、彼らを秩序を統べる側、社会を監視し動かす側に引き込む事で、社会からイレギュラーの存在を取り除き且つ、シビュラは平等で公平性のある思考を確立できる今の状態を作り出せている訳です。表向き。
しかし、この集団的サイコパスという新しい認識を確立してしまうと、個々では無く集団として一つのサイコパスを計測しその値を出す事が出来てしまう。
個では無く、統合したものを一つに括って、纏めて裁けちゃうよという事になるんですよね。
一人一人を個別に測るとクリアな数値でも、それが一塊りになると必ずしもクリアになるとは限らない、と。
それ故にシビュラは自分で自分を裁いた上での自己破綻を恐れた。
鹿矛囲くんは認識すらされなかった自分に色が戻り、人だろうがシステムだろうが、法の裁きの前では何一つ例外はないのだという事を証明したかった。

鹿矛囲くんに「お前の色は何色だ」と問われたシビュラは、自分達の立場を壊さない為に必要な最善の選択として、集合体の中から個としての東金美沙子を切り捨てました。
更に、管理されている200体以上の脳の中から、害悪になりうるとする構成員を順に選別、排除していく事で、自らを裁いた。
遂に集団的サイコパスを認めたという事なんですよね。
シビュラとしてのサイコパスを自ら数値化し、割り出す事で自身も裁きの対象にし、そしてその中から数値を上げている要因となっている脳味噌を切り離す。足し算し続けていたものを、今度は引き算する事で、上昇した集団としてのサイコパスを調整し0に戻した、クリアにしたという事でしょう。これがシビュラがシビュラを裁いた結果。

しかし此処で一期の設定を踏まえている視聴者からすると、どうしても消化できない問題点が幾つか浮上してしまうんですよね…。
まず一つ目、東金美沙子にドミネーターを向けた時、オーバー300の数値が出たあれは、誰の数字だったのかと言う事。さっきも言った通り、シビュラの構成員は全員免罪体質者である為、個人としての数値が正しく計測される事は無い…はずなのですが…。
二つ目、集団的サイコパスを計測できるように進化(システムの計測領域の設定を変更した)、それが確立された事で自らを裁きの対象にしたシビュラは、正しい裁量が出せない筈の免罪体質者の中からどうやって害悪となる個の脳味噌を断定したのか。その判断基準はなんだったのか。

東金母に関しての、あの犯罪係数の真意は何とも言えませんが。仮説を立ててそれっぽく解釈すると。
●あの犯罪係数はシビュラシステム全体の集団的サイコパスの数値で、それに基づいて東金母は執行された(この時点でシビュラは集団的サイコパスを認可したという意味)
故に、その後システムの中枢で脳味噌単体にドミネーターを向けた時、東金母を排除した後なので計測数値が若干低下している。
●東金母の切り離しは、飽くまで集団的サイコパス下の裁きの最初の段階であり、鹿矛囲くんに促され無くても他の害悪となりうる脳味噌の排除はシビュラの予定調和に含まれていた。
●前回朱ちゃんに、全員でよく考えなさいと言われて、東金母抜きでこの件に関する落とし所の協議が行われていた。
●集団を集団として裁けるようになった為、害悪を排除した事でシビュラは係数が下がり、鹿矛囲くんは「集団」としてドミネーターの認識下に入り、犯罪係数が計測できるようになった。

一方で。あの数値が東金母個人の計測値だったと仮定すると、一度シビュラに取り込まれ集団としてサイコパスが計測された事により、免罪体質者の絶対の権限だった「正しく測定できない」という概念が崩壊。集団の中で計測されれば、個人を個人としても計測できますよという事になる。といった所でしょうか…。しかしこの世界での免罪体質者は飽くまで「正しく測定できない」という垣根がありますから、この仮定は少々無理やりに曲げた感がありますが(^_^;)


免罪体質者の定義に関しては、シビュラが集団的サイコパスを計測するようになり、自らを裁きの対象にした訳ですけど、その中でどの個体が全体の数値を上昇させている原因なのか、全体にとっての悪玉なのかをシビュラはどうやって見つけ出したのでしょう。
算出された犯罪係数が全てである秩序に於いて、裁量出来ない。そんな裁くに裁けない存在である筈の人間の善し悪しを、彼らはどうやって推し量ったのか。これまで明かされてきたシビュラという物の設定上、それらを判断できるような基準は彼らの中には存在していないはず…なんですけどね。

よもや、「こいつ調和乱すし、悪そうだから…」とか、「肉体持ってた頃にヤバい犯罪しまくってたから」とか、そんな感情論で仕分けされていた…なんて言いませんよね?
そんな設定崩壊な事、なってませんよね??(白目
そうすると現段階の辻褄は合いますが、システムとしての崩壊は益々避けられないでしょうし、シビュラシステム自体の存在意義そのものも益々不明瞭になっていくような…。
恐らく私の中で一番の引っかかりになっているのはこの問題点かもしれません。
裁けない事が前提である筈の枠の中で、何の判断基準で。これが解消されない限り、前提が崩壊してしまうじゃないですか。となると、その後に連なるものも崩壊してしまうのですよ。
この一点さえ解消されれば、集団的サイコパスという物がシビュラにアップデートされた事はそれなりの解釈で腑に落ちるのに…。


この辺りの事は尺の都合か何なのか解りませんが、説明っぽい注釈がなかったのでモヤモヤしてます。一期の設定見て、「このシステム、不完全だけど、怖いけど、此処まで自分達は凄いんだ!と堂々言える分、なんかある意味凄いかも」って思えていたものが、すっかり繋がらなくなってしまっているようで…ね。
何度もオフプロ読み返してしまいました(笑

それから鹿矛囲くんが朱ちゃんに語りかけた事。
ドミネーターを撃つ側のサイコパスが、対象である集団的サイコパスの計測数値に影響を与えるのだとしたら?朱ちゃんがもしその立場にいたなら、シビュラは怪物では無く、本物の神になれるかもしれない云々の件。
あの部分は一体なんだったのでしょうね。
詰まり、朱ちゃんの考え方や理想がシビュラに伝染する事によって、彼女を取り込んだ事と同等の現象、サイコハザードの好転版が起きるのでは?という話ですか…??
一人、清廉潔白な人間が投入され、それに影響されて全体も清らかになっていく??
そんな夢物語な事、あり得ますか?
あの鹿矛囲くんの台詞のあと、狼狽える朱ちゃん見ているとまた何か大きな物を背負わされた感が否めないんですが…。これ如何に。

モヤモヤは残りましたが、結果的にシビュラはシビュラを裁いた(身辺を綺麗に洗い流した)事により、集団的サイコパスという新しい計測領域は確立されました。
そしてそれが確立された事により、今後突出するであろうリスクも。
集団裁きは、何もシビュラや鹿矛囲くんのような「個でありながらの複合体」という物に限らず、解釈次第で一般人の集団も適用対象になる訳ですな。
自分は色相クリアなのに、大衆に居る事で潜在犯と同等に認識されてしまい、裁かれてしまう。そんな危険が魔女狩り社会を引き起こす、とシビュラは言います。
魔女狩り。大衆の中からコイツ悪いやつだ!と多数が認める者を排除する。まさしくシビュラが自身に行った裁きの仕方ですね。
人員の減った今のシビュラの処理能力では、すぐに集団を集団として認識し計測するという事を実用化する事は出来ない、と言いますがこの新しい裁きのルールにより、あの世界は、またこれまでと違ったリスクを背負わされる危険社会になりました。

朱ちゃんに対し、免罪体質者でないにも関わらずシステムの一部に迎えたいという勧誘を聞いていると、やはりシビュラは朱ちゃんの思考を欲しがっているのでしょうな。(という事は今期殺害しようとしていたのは、東金母の一存だったのか?)
その誘いを「今は」乗らない。と言う風に返したのが、また何とも逞しい。
シビュラが今のシステムを破棄するというなら、その時は一緒に地獄にいってあげると言います。
それは集団的サイコパスを認めさせた朱ちゃんが社会に対して後々負わなければならない責任なのかもしれません。
…しかしこれ、フラグじゃないよね?朱ちゃん、自分で死亡フラグ立てた訳じゃないよね??
フラグじゃなくてブラフ。本気では無い、単なる言葉遊びだと思いたい。。。

結局今期はシビュラシステムの膿み出し作業のようなシリーズだったのかなぁとか思いつつ。最終話なので個人的に気になった各キャラの総括なんかを残そうかな。
主観がゴリゴリに入りますから、ご注意を。



常守朱
今期逞しさに磨きが掛かって、更なるスーパー朱ちゃんへと進化した彼女。気苦労絶えない道はまだまだ続いていきそうですが、それでも諦めずに立ち向かう姿、一人でも踏ん張っていく姿は、さすが今期の主人公!といった感じでした。
その有能さが際立つシリーズでしたが、こっそりエア噛さんを召喚して、自分の原動力にしていた事やその瞬間だけは「朱ちゃん」に戻れた所を見ていると、少しホッともしました。
ゆきちゃんに続いてお祖母ちゃんまで失って…。それでもくよくよ出来ない境遇は果たして幸せなのか不幸なのか…。なかなか難しい立場ですけど。
最後のシーンで燃焼途中の煙草の火を消す描写が入ってましたね。一期の最終話に被る演出ですが、あれは自分の中のエア噛さんから卒業したって感じなのでしょうかね。そのだけの逞しさを手に入れたよ!と。
個人的な妄想をすると、あの直前まで彼女は召喚したエア噛さんと会話してたんじゃないかなーって。お別れの挨拶、的な。ちょっと晴れやかな雰囲気に見えたので、きっと穏やかに決別したんじゃなかろうか、そんな所まで想像しました(笑

宜野座伸元
ギノさん。執行官に落ちてからのシリーズだけあって、一期の時と違い丸くなりましたねぇ。
融通が利く、そんな余裕を心に持てるようになった。きっととっつぁんが見たら、心配しつつも安堵している一面があるんじゃないかなって。
でももうちょっと活躍してる所見たかったー(^_^;)
ギノパンチしか活躍の印象が無く、終始朱ちゃんの心配役なのは少し淋しかったですね。
劇場版はポニちかさんになってるとかで。活躍あるといいなぁ。

霜月美佳
彼女は最後まで彼女でしたねぇ…。
起死回生あるのか?と期待しましたが、色んな意味でその期待を裏切ってくれました。
監督さんが最終話のアフレコ終了後のツイートで、霜月良いわーと呟かれてるの見て、これは良い子に転身するのか?と思った時期が私にもありましたが…。これは良い感じにろくでもないというグソンさんの言葉的な評価だったのか…とこっそり納得。
彼女は臭い物に蓋をして、貝になる事で自分の人生と立場と自身そのものを守る方を選んだんですね。非常にずるい、地べたを這うような生き方ですが、これはこれで逞しいというか何と言うか。一種の処世術、なのかも?
当然、した事の罪は消えませんし、罪はいつか必ず裁かれますから、彼女が幾ら口を噤んで耳を塞いで目を逸らしていたとしても、いずれは裁き場に立たされるのかもしれません。
その時に初めて、自らが犯した過ちの本当の大きさに気付くのかも。

東金朔夜
この方の最初の印象はいつ、どの辺りで霧散してしまったのか…。
1話目のインパクトを踏まえると、何か大物感を期待していたんですが。結局他人の仕草をトレースして染物職人に徹していたくらいで、小物臭を残しての退場となってしまいました…。
中盤でもしかしたら鹿矛囲くんラスボスじゃなくて、この人がラスボスなんじゃね?と思ったりもしましたが…。まさかのマザコンこじらせ四十路で終わってしまうとは。誰か予想した人いたんですかね。どうしてこうなった(笑
彼の犯罪係数が上昇したきっかけは、やはりママンだった。大好きな東金母が自分の元から離れてしまう事を嫌がって、それなら殺してしまおうなんて…。とんだ思考回路だw
あれで何もかもが壊れてしまったというのでしょうかね。
それで人工的免罪体質者が最高値を叩きだす漆黒さんに変化?
人工的であって先天的な体質じゃないからって事でしょうか。
この方を含め、東金美沙子を始めとする東金財団は、各スピンオフエピソードで間接的に名前が出てきたりと、何かとシビュラ社会で名前を耳にする事があるので、今後何らかのスピンオフ小説が展開されると予想。まだこの一族が行った実験も含めてですけど、明かされていない事いっぱいありますよ!

雛河翔
朱ちゃんを「お姉ちゃん」と呼んで顔を赤らめたり、朱ちゃんの身を案じて拝んだり。何かと可愛げのある1係の愛嬌担当に変身した雛河くん。
当初、槙島役の櫻井さんが再びCV担当という事で、これはもしや槙島と繋がりがあるのでは?と大勢の人に予想されていましたが、二期終了時点でそんな事はありませんでした。
そもそも彼の事はまだまだ明かされないですよね。鬱気味でコミュ症で、精神安定剤をご飯に塗して食べないといけないくらいしか…。
この子もスピンオフ化されるのか、それとも今後展開されるかもしれないシリーズまで温存させるのか…。

六合塚弥生
旧1係のメンバーでありながら、ギノさんと同じくあまり活躍が見られなかった弥生ちゃん。
でも彼女のシャキっとした空気感とか、凛とした立ち姿を見ていると、場の空気や絵が締まりますよね。これは一期の頃から思ってましたw
勘の鋭さを表すように、最後に霜月ちゃんに葵お祖母ちゃんの情報がリークされた事に触れて、誰であっても絶対に許さないと彼女の目を見て言っていましたが、これ多分弥生ちゃん気づいてますよね。目の前にそのリークした人間がいるって。
でもそれを面と向かって突き付けたりはしない。待っているんじゃないかなぁ。自分の過ちを受け入れて霜月ちゃん自ら自首するの。

唐之杜志恩
今期もお色気担当だった志恩さん。一期と変わらずの忙しさで、公安を支えてくれましたねぇ。
意外と雑賀先生とのやり取り、好きでしたw
劇場版での活躍もあるのかなぁ。あると良いなぁ。

雑賀譲二
今期1係、いや公安のブレイン担当だった雑賀先生。
一期ブレインだったこーがみさんもとっつぁんもいなくなった今期、雑賀先生の頭脳の有能さは特に際立っていました。
この方が居たから聴取で詳らかにされた新事実も多かったですよね。
何よりこーがみさんがいなくなって、朱ちゃんの心の拠り所になってくれていたのが良かった。
でもまた施設に戻ってましたね。短期バイトだったのか…。それもどうやら雑賀先生の犯罪係数は収容されるような数値では無いらしい。それでも戻るのは、自分の言動に他人の色相を濁らす可能性を感じているからでしょうか。
まったく、どこまでも素晴らしい先生です!

鹿矛囲桐斗
今回の悪役ポジションの彼。ちょっと行動理念が希薄で伝わりにくい時期もあってか、東金さんにラスボスポジを奪われる噛ませなんじゃないかと思った時もありましたが、見事ラスボスの立場を死守しましたな。
どうしても槙島と比べられてしまう所為か、キャラクターとしての印象はカリスマとは言えませんでしたが、彼の行動理由やその正体が解ってからは、派手さは無いけど強かな悪役として退場したのかな、と思います。
仕掛けた事の罪は消せませんけど、完全悪になりきらなかったのも、コパスの悪役らしいかと。
最後、朱ちゃんに未来の可能性を見出して、少しだけ期待の眼差しを向けた辺り、彼は自らが死んだ後の世界への希望をうっすらと感じていたのかもしれません。その上で自身は裁かれる事を受け入れた。色を取り戻せた事は彼にとって本望であったし、シビュラが裁かれれば自分も裁かれる覚悟はとっくにしていたようですし。元より長く生き延びるつもりはなかったのかも。
今期のOP、エニグマティックフィーリングの歌詞を見ていると、そんな気がします。

狡噛慎也
いつ出るの!いつ出るの!と言われながら、結局エア噛さん出演しかせず本人は全く出なかった今期。まぁね、劇場版までとってあるのよ感アリアリでしたし…。出て来て欲しかったなぁって思いながら、一方で予想の範囲内の扱いかなぁと。
でも朱ちゃんの中でのエア噛さんが何より近い位置づけに居て嬉しかったです。
朱ちゃんにとってこーがみさんは未だに大きな存在なんだなぁって。同時に彼の召喚で気持ちが落ち着いている辺り、ストレスケア薬剤なんか目じゃない効力を持ってるエア噛さんマジパネぇっす(笑
この人居たら、どんな困難も乗り越えられそうな気がしますね。
劇場版では敵対関係になりそうな様相を見せていますから、彼の活躍はこれから!って感じでしょうか。



あれこれ解明されていない事実とかありますけど、取り敢えず今期の目的は「集団的サイコパスを確立させる」という事だったのでしょうから、その一点に於いての目的はきちんと達成され、纏まったのかなと思います。流れの粗さは否めませんけど、これが劇場版乃至今後のサイコパスシリーズに必要な布石になるんだと思うので、どう生かされていくのか楽しみです。
ともかく!シビュラがなんで自分の中で個人の白黒を特定できたのか、その判断基準だけは、なるはやで明らかにして頂きたいです!!切に!!

PSYCHO-PASSゼロ -名前のない怪物ー

 
「気に入らなければ俺を撃て」




PSYCHO-PASSゼロ 名前のない怪物。
サイコパスの原点であり、主人公狡噛慎也が執行官に降格するそのきっかけとなった「標本事件」。
全ては此処から始まった、と言っても過言ではないこの事件の真相が描かれた本作。
サイコパスという作品をきちんと理解し、そしてその台頭である狡噛慎也を”知る”という意味でも、この一作は絶対に避けて通れない物語になるだろうなと、サイコパスにハマって少しした頃に思うようになっていました。

一期本編に、標本事件や佐々山光留という人間が出てきたのはほんの僅かなシーンや回のみ。こんなにも重要で作品の原点でありながら、その真相や顛末は殆ど明かされていませんでした。
けれど、その断片的な情報から、はっきりと伝わってくるのはこの事件が齎した結果が、この物語に、狡噛慎也という主人公に、甚大な影響を与えたという事。人の人生、性格、価値観すらも180度変えてしまったその事件が一体どんなものだったのか、より深く知るために、読破させて頂きました。
以下、ログを残す意味でも感想をば。
ネタバレアウトな方は閲覧を控えて下さいませ。

PSYCHO-PASS2 第10話

PSYCHO-PASS2 第10話「魂の基準」
早速視聴しましたので、その感想をば。

もう10話なんですよねぇ。1クール全11話なので、いよいよ物語はクライマックスへ待ったなし!
今週は鹿矛囲くんが遂にホロ偽装の手段を捨てて、自ら公安に、シビュラに仕掛けます。
難しい推理回というよりは、前回の「全能のパラドクス」を更に解り易く解読した回って感じでしょうかね。そして最終話へ向けての行動基盤を作る回、とも言えると思います。
今回も展開があちこちで怒涛だったので、サイド分けして書いていこうと思います。

まず鹿矛囲サイド。
地下鉄を乗っ取り、車両を一か所に集め周囲を汚染水で満たす事で、外部と車両が格納された退避区画を分断、完全に孤立させ乗客を人質にテロを起こします。
その乗客に一人一人ドミネーターを向け、その計測値を見る鹿矛囲くん。
軒並み100越えしててびっくりしました。
まだ状況がしっかり把握出来てい無さそうな段階で、そんなホイホイ上がっていいのか!?とも思えなくないですが、閉塞空間を何となく感じただけで犯罪係数ってそこまで上昇するんでしょうかね。そうなると、システム機器の事故で閉じ込められただけでも潜在犯になってしまうという事になり兼ねない気もしちゃいますが…(^_^;)

そんな異常事態発生の車内で、鹿矛囲くんは100以上の乗客に向けてパラライザーを放ちます。
麻酔なんで死ぬことは無いですが、それを見たらハザード起きちゃうのは必然ですよね。
犯罪係数300に近い者から麻酔で眠らせろと命令しているのを見る限り。無差別殺傷というより、それを回避するために選んで制圧しているとも受け取れますね。
そしてその狙いは他にもある様子。
どうやら、そうして一斉に犯罪係数を測定する事で、シビュラに演算処理の負荷を故意に与えているようなのです。

ここでおさらいなんですが、シビュラシステムは犯罪係数の測定以外にも市民の福利厚生や職業適性に、その演算システムが使用されています。日本国民全員の判定が常にシステムに求められている事で、演算タスクは圧迫され続け、処理の順番待ちをしている状態です。しかし公安局の使うドミネーターは、その順番待ちに優先的に割りこめるという権限を持ってます。本来医療機関などできちんと計測した犯罪係数の測定結果が、時間のかかるものであるにも関わらず、ドミネーターを向けて瞬時に犯罪係数を割り出せるのは此処に起因しています。これは、とっつぁんが一期で言ってましたね。
一人を計測した所でさしたる割り込み処理にならなくても、一度に何十人、何百人と優先処理を掛ければ、システムそのものに対する圧迫は膨大なものになります。そこが鹿矛囲くんの狙いだった。彼がドミネーターを集めた理由の一つが、また明らかになりました。

そうして次々処理を要請してシステムが圧迫されると、シビュラは渋滞する演算処理を円滑にする為にバイパス経路を使用し始める。これを見つけ出す事で、シビュラシステムの中核が何処に設置されているのかを見つけ出すつもりだったようです。
要するに一期の槙島&グソンとは逆パターンである、と。彼らは処理する情報の流れから、既にノナタワーにシビュラに関する何かがあると踏んで、そこへ向かいました。しかし鹿矛囲くんはシビュラシステムが脳の集合体で、その処理に一定の法則を見つけ出す事でその集積地たるシビュラの居場所を見つけ出そうと、そういう事のようです。


一方公安サイド。
葵お祖母ちゃんが拉致されたという事で、朱ちゃんに待機命令が下ります。
1係のオフィスで居ても立ってもいられない様子の朱ちゃん…。
そりゃそうでしょうよ。こんな時の待機程、辛いものも無い。
堪らずオフィスを出ようした矢先、現れたのは東金さん。
局長命令ですよ、と朱ちゃんを引きとめますが、どいて下さいと朱ちゃんの足は止まりません。その姿を黒い笑みで見送る東金さんが黒い!黒過ぎる!!w
あの表情はヤバいですねー。ザ・悪役って感じの下衆顔、ありがとうございます(
そして廊下に出た朱ちゃんを見つける霜月ちゃん。
「私は悪くない。私は悪くない。私は悪くない…」
まるで「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」と連呼する某少年ばりに、震える体を押さえながら呟いてます。
もうね、この子の色相これで濁って無いって言うなら、朱ちゃん以上のメンタル美人ですわよ。
どんどんダメな子になってしまって…。挙句、東金さんに加担しちゃってるんだもの…。
間接的に犯罪に関わったという事実は彼女の色相、犯罪係数にどのくらい影響を与えているのか。
全てが決着付いた後、彼女の色相が濁ったのは東金親子によって強要された故の上昇だったと免責されようものなら、それはそれは強いバッシングの対象になるでしょうな…。知らなかった、そうするしかなかった、では済まされない領域に行ってしまったのは事実でしょうし…。
寧ろこれでギリギリ100以下という事になると、彼女が免罪体質でも無い限り説明付かない気も…(^_^;)

エレベーターの中で、朱ちゃんは霜月ちゃんから東金母が鹿矛囲くんの手術に関わっていた事を聞きます。これは事実なんですが、何故それを此処で?というと、鹿矛囲→シビュラでは無く、鹿矛囲くんの目的は飽くまで東金財団への復讐なんだと陽動させるつもりのようです。悪いのは鹿矛囲くんの方だよ!と言いたいのかな。それ即ち処分という裁きを与えるに妥当という構図でしょうかね。


さて、朱ちゃんがその足で向かったのは禾生局長の元。
禾生局長が鹿矛囲くんを始末する方向に踏み切ったこと、そこに言及します。
霜月ちゃんの陽動とは裏腹に、鹿矛囲くんの目的が東金財団では無い事も、朱ちゃんは見抜いていました。
この辺りで鹿矛囲くんがドミネを向けてシビュラの罪を問う。シビュラがシビュラを裁くという結果的な構図が明確になります。
否定も肯定もしない局長はそんな事態にはさせないと断言し、その為の措置として3係が動いていること、孤立した退避区画上部に爆弾を設置している事を教えました。東金母は退避区画ごと、人質ごと、鹿矛囲くんを葬り去ることで決着を着けようと言うのですよ。どのみち、人質は既に潜在犯となっているだろうから、此処で一斉処理をしても結果的には同じである、と。
体裁を取り繕っていますが、これは個がかなり強調された判断ですよねぇ。
一期のシビュラが、受け入れ難くも曲りなりにシステムとして君臨していると印象付けたあの圧倒的な理論が、すっかり一人の意見によって左右されているように見えてしまって…。


『シビュラシステムに支配される世界は、決してディストピアでは無い』

一期の頃、サイコパス制作サイドのスタッフの共通の認識であったこれは、世界の外である我々視聴者から見ればディストピアに見えても、中に居る一般市民にとってはユートピアに見える。そんな内と外の違和感や齟齬がこの作品の大前提だったんですが…こんなにも一人の意見が大いに反映されてしまっていて良いのかと思っちゃいますね。これで中に住んでいる人間にとってのユートピアになっているのかどうか…。。。
まぁ切り捨て云々は縢くんの件然り、一期の事からある矛盾点というかシビュラの弱点でもあるので、その許容範囲なのかなぁ。

そんな中、朱ちゃんに明かされた葵お祖母ちゃんの状態…。
これは正直、精神にくるものが…。

前回のCパートで、これは何かの前振りで、殴られたのは東金さんだろぉぉぉ!?と自己暗示しましたが、無情にもその淡い期待は砕かれちゃいました。
お祖母ちゃん………。撲殺ですってね。痛かっただろうなぁとか、あーちゃんのお仲間さん?って思ってただけに何故そうなっているのか解らないままだっただろうなぁとか、遣る瀬無さでいっぱいになっちゃいました。
おのれ、東金許すまじ(

「自分を取り戻すための殺意を肯定しろ」

東金さんはそう朱ちゃんに向かって念じます。要するに復讐鬼になって色相を濁らせろ、こーがみさんと同じような状況になれという事でしょうな。

朱ちゃんは一人、オフィスでお祖母ちゃんの死を噛み締めます。また身近な人を助けられなかった。その思いから、自分の中ではっきりとした殺意が次第に大きく、膨れ上がっていくのを感じていきます。
絶叫と高まる息遣いにハァハァ…じゃない!ハラハラしましたよ!←

泣き噎ぶ朱ちゃん。どうしようもない絶望に打ちひしがれ落ちゆく彼女を、しかし引き留めたのは誰であろう、こーがみさんでした。

狡噛「殺すのか?奴を」

静かな問い掛けに、画面の前で絶叫。
「こぉぉぉがみさん!きたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
待ってた!すごく待ってた!
ここぞのタイミングで、抜群の安心感を与えてくれるエア噛さんの登場です。

朱「解りません…でも、そうすべきなのかも…」
狡噛「らしくないな。あんた言ったよな?法が人を守るんじゃない、人が法を守るんだってな。それを信じているから、あんたは俺を止めようとしたんじゃないのか?」
朱「そうでした…あの時は」
狡噛「…まぁ、俺が言えた義理じゃないか…」
朱「シビュラに鹿矛囲は裁けない。でも鹿矛囲を止めなくちゃいけない。もう手段が無いんです」
狡噛「…違うな。もう手段が無いんじゃない。今は手段が無いだけだ。可能性のピースはもう揃っている筈だ。あんたが躊躇っているだけで…」
朱「失敗は許されない。でも…」
狡噛「賭けてみても良いんじゃないか?負けるなよ」
パシッ(優しく頭をはたく音)

なんて展開ですよ!!これにトキめかずして、いつトキめくの!?
煙アロマ焚いてないのにくっきりはっきり召喚されたエア噛さん。朱ちゃん、どんだけこーがみさんの言葉を聞きたかったのか。幻想でも良いから、今にも絶望で頽れそうな足を踏ん張る為の支えが欲しい。そんな願望の表れだったのかなぁ。
それは同時に、彼女の中での支えが、未だ自分の中に居る「時が止まったままのこーがみさん」しかいないって、かなり切ないものがありますね。このやり取りで自分を見失いそうになっている朱ちゃんを見ていると、その偶像さえも崩れてしまったら、その時こそ彼女は彼女で居られるのかと…。
それにしてもこーがみさんの安定感は凄いですね。この人が出てくるだけで、朱ちゃんのみならず多くの人が安心を感じている様子を見ると、更に凄さを感じます。
なにより「賭けてみても良いんじゃないか?」からの件は、本当に声が優しくて。そこだけ抽出してずっとリピートして聞いていたいくらいに、心地が良いです(笑
もはや朱ちゃんの意志に応じて背後に佇むようになってしまった彼。生霊のようにも見えるし、守護霊のようにも見えますね。強力な起爆剤でもあり、強靭な心の守護者なんて、どこまでカッコいいの、こーがみさん。


エア噛さんに踏ん張る力を貰った朱ちゃんは、今は悲しみに立ち止まらずに突き進む事を選択します。
拘束していたクワシマを引きこんで、鹿矛囲くんに交渉を持ちかけます。そしてその動きを察知したシビュラもまた、その間に割り込み。三つ巴の様相を呈してまいりました。
ここで再び「全能者のパラドクス」が砕かれて説明され、鹿矛囲くんの望みであるシビュラがシビュラを裁くという事を成し遂げさせると仄めかします。
シビュラは一度裁かれるべきだとね。シビュラが裁かれる事により、集合体としてのサイコパスが認められる形になります。そうする事で一固体では免罪体質で測れないサイコパスも、集団として裁量する事が可能になる。それは同時に歩くシビュラである鹿矛囲くんにも言える事。
イレギュラーをイレギュラーでは失くす方法ですね。これは解り易い。
しかし当然、シビュラはそれを受け入れないでしょう。自分で自分を裁こうなんて、彼らにとってのメリットが無いですから。拒否するのが定石です。

シビュラは朱ちゃんの監視官権限を奪う事で、身動きを封じようとしますが…。
朱ちゃんはそれがシビュラの聲では無く、一個体である東金美沙子の聲であると突き付けます。禾生局長の中に、東金母が入っている事を見抜いたんですなぁ。
自分達の立場を確固たるものにし続けるには、何を選択すべきなのか全員で考えなさい。朱ちゃんの強い意志が滲み出てます。漢前女子は強い!
それを傍受していた東金さんは、何やら不穏な動き。

3係は局長命令で爆弾を起爆させます、が…。何故か爆発しない。そこに登場する酒々井監視官。また一人、3係は執行官が居なくなってしましました…。もう3係が噛ませ過ぎて悲しい…。
酒々井監視官は使用された爆薬が一話の犯人の押収品である事を指摘。それが使用されるだろう事を見越して鹿矛囲サイドで操作出来る用細工していたのよ、と言います。
何やらヤバそうな薬を投与して、陶酔した様子の酒々井さん…。薬物かとも思えますが、これが色相をクリアにする薬剤ってやつでしょうかね。

鹿矛囲くんと朱ちゃんの間で交渉が成立した為か、退避区画の排水が開始され、安全が確保された電車内から人質となっていた人達が解放されます。
一方朱ちゃんは鹿矛囲くんと合流するポイントへ。その途中待っていたのは…東金さんでした。
「俺も同行させて下さい」と志願する東金さんに、朱ちゃんは不信感を募らせます。
東金母と鹿矛囲くんの関係に触れたうえで、母親の齎した事の責任から自分の手で鹿矛囲くんを始末する理由がある。例え自分の手を汚しても。
しかし朱ちゃんは「殺すつもりなのか」と問います。
そうして東金さんは答える。
「狡噛執行官ならそうした筈だ」と。



これは東金さんのミスですよね。ここにきて疑いを感じ取って焦ったのか、それとも余裕からか、こーがみさんの名前を出すタイミングを明らかに間違えましたね。
こーがみさんの名前を出してまで、こうしただろうと紐付けした事で、朱ちゃんは却って冷静になったように思えます。
それより前に、彼女は自分の中のこーがみさんに会ってますから、その差、違和感をより明確に感じたでしょうし、疑いを確かなものに変えられた。
何より嘗て、復讐に走る彼を止めようとしたのは他でもなく朱ちゃん自身です。より冷静にならない訳はない。

お芝居はもう止めませんか。
朱ちゃんは東金さんの表層の演技を指摘します。
どの段階で演技だったと解っていたのか。ちょっと推し量れないんですけど、或いは最初から解っていたけどわざわざ指摘する事でもないからと、見て見ぬふりをしていたのかもしれないですね。そもそも彼女は脳内で何度もこーがみさんに会っている訳ですから、仕草を真似て目の前に居られても、一時的に重ね合わせる事はあっても、最終的に彼女が東金さんをこーがみさんと思い彼の思惑に嵌まってしまう事は無かったのかもしれません。

此処から朱ちゃんの推理パート。東金さんの間に明確な線引きが成されます。
いつ、そんな詳細な情報を仕入れたの、と思ったら霜月ちゃんの報告書見ていたんですね。
まぁギノさんの報告書をこっそりこーがみさんが見れたくらいだから、この辺りは介入してこっそり閲覧とか出来そうですな。
それにしても詐称された東金さんの登録内容。やはり28歳になってました。
28歳が実は41歳だったとか…。どんなカラクリ使ったらそんな鯖読みを堂々と出来るのwとか思っちゃいました(笑
洗い浚い調べ上げた朱ちゃん、有能だ。
黒く染めたかったのねって、ここまでバレてたwww

「彼女は君程度には染められないよ」

そうしてやってきたのは鹿矛囲くん。その姿を見て、東金さんは所持していたナイフを出します。そして鹿矛囲くんもドミネーターを構える。

計測された数値は暴露されたデータと同じ769。言わずとも最高数値ですよ。
ドミネーターがエリミネーターに変形して、東金さんに照準が定められます。
ドミネーター相手にナイフとは、これ如何に。と思えますけど、恐らくシビュラが、東金母が自分を処分する筈がないという驕りと、鹿矛囲くんを始末するには物理しかないという理由からってのがありそう。しかし圧倒的にリーチが短いナイフ…。ドミネーターが作動しないという確証は正直無い。シビュラは総合的な利害で、切り捨てる時には切り捨てちゃいますからね…。

「散れ、漆黒…」

撃ち放たれたドミネーターは果たして東金さんへ向いたものなのか否か。
次回最終話ですが、冒頭で東金さん死んじゃってたら、小物臭がキツ過ぎるので悪あがきにもう一悶着引き起こしてくれることを期待します。

なんだろうね。朱ちゃんの強さに脱帽する一方で、身近な人の死をちゃんと受け止める暇も無く進まなくちゃいけない。それは彼女の強さに映るが、同時に危うさにも映る。
全部の事が終わって一段落したら、朱ちゃん思いっきり泣くんだよ?その時は泣いて良いんだからね?と声を掛けてあげたいような。そんな切ない展開です。


さぁ!来週はもっと長く感想を書く事になるだろう!また一週間、色々想像を巡らしながら待ちたいと思います。
最後に一言。
こーがみさん、エア噛さんでもべらぼーにカッコイイです。ほんと、惚れるぅぅぅ。