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観測者の足跡

観測者ハ足跡ヲ残シタ。

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監視官常守朱

遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます!
年明け一回目のブログ更新です。
今年はのっけからPSYCHO-PASSの劇場版公開という、大きな花火を皮きりに一年がスタートしますので、2015年が益々コパスに浸れる一年であればいいなと思います。
勿論、そのほかのアニメだって沢山見させて頂きますし、声優のマモもしっかり応援していきたいと思います!
つらつらと、マイペースに更新していきますので、本年もよろしくお願い致します。



 
さて、新年のご挨拶もそこそこに、さっそく表題通りの記事を書きましょう。
1月5日発売、監視官常守朱6巻。この巻を以て、監視官常守朱(アニメでいう所の1期)が終了を迎えました。
まずはこの巻の感想から。
最初のページから「失われたバレンタインデー」という番外編で始まるわけですが、「あれ!?5巻の続きだよね!?」と思えるくらいにがらりと雰囲気が違います。
脚本家である深見氏著作の小説版PSYCHO-PASSの下巻に収録されたおまけを、コミカライズしたそうな。
バレンタインデーという、あの世界ではすっかり旧世代のイベントになってしまっている日を巡って、嘗ての1係、狡噛、佐々山、宜野座の物語です。
いやぁ、ギノさんばっちりからかわれてましたね(笑
真顔でチョコを配って回るあたり、彼のピュアさがにじみ出てますw
それを知っててからかう佐々山さんは、ギノさんを心配して(本当にそれだけが真意なのかは不明だが…)ああいうジョークをそれっぽく吹き込んだ、なんて言ってますが。名前のない怪物の方で、こーがみさんと同じくらいギノさんを気に掛けている描写もありましたから、佐々山さんにとっては良い弟分なのかなぁ~。それにしても、おもちゃにされすぎだ(笑
それをちゃんとした意味で心配するこーがみさんも律儀w
しかしまぁ、こーがみさんがバレンタインデーをちゃんと知っているとはね。当然”知識の一環”としてって感じ丸出しだけど、でもそういう事も解っている辺り博識ですな~。
最後のシーンはちょっとフラグっぽいですけどね(^_^;)
後に起こる標本事件の………。

そして番外編の後、本編(5巻の続き)が始まります。
こーがみさんは公安局から逃亡し雑賀先生の許へ 、朱ちゃん達は逃亡者狡噛を追いつつも槙島を追いかけるという展開はアニメとほぼ同じです。
唯一の違いというか、尺の関係上だと思いますがオムライス回での食事をしながら雑賀先生と引用合戦をするという展開は、流石に省かれて短縮されてましたねぇ。
アナーキストの定義とか、槙島ならどう引用して返すか。(二期でも出てくるパノプティコンなど) 
漫画であり、文字の応酬になってしまうので、これはこれでアリな短縮の仕方かもしれませんね。このシーンが好き!という方にとっては、ここのやり取りも再現してほしかったと思われるかもしれませんが(^_^;)

ハイパーオーツを狙ったバイオテロを突きとめ、その計画阻止、北陸穀倉地帯へ舞台を移しての最終局面。とっつぁんとギノさんの悲しい別れと、手に汗握る狡噛対槙島の肉弾戦!そして朱ちゃん介入してからのこーがみさん渾身の呼び捨て「朱ぇっ!!」、そしてライ麦畑で捕まえて、ですよ。(ざっくり言い過ぎてこれだけ読むとなんてストーリーだ!と思えてしまうw)

この辺りの流れはほぼアニメに沿ってますから詳しく書きませんが、漫画という媒体としてはアニメーションに引けを取らない作画力が惜しみなく注ぎ込まれております。

ライ麦畑で槙島を後ろから撃ち殺す間際の描写なんて、アニメの色彩が瞼に浮かぶくらい1コマ1コマが丁寧に描かれており、二人の戦いの決着にはとても相応しい形になっていると思います。ラストシーンの船室から、机の上におかれた火の付いた煙草と「失われた時を求めて」の本。アニメの制作サイドも、ここのシーンの意味合いは重きを置いていたそうなので、それをきちんと表現されているのも、物語の幕引きとしては非常に良かったのではないかと思います。




PSYCHO-PASSという作品にハマるようになって、最初に手にした紙媒体のコパス作品がこの「常朱」でした。原作がアニメなので、漫画はコミカライズ版という位置付けな訳ですが、表紙を見て「お、これは完成度が高そう」と思い読み始めましたが、この直感は間違っていませんでしたね。
あれよあれよと最新巻まで揃えて、いつの間にか三好先生の描くPSYCHO-PASSのファンになってました。
新人作家さんにして、これが人生初めての単行本だったそうですが、新人とは思えないくらいの作画力で。キャラクターの安定感もそうなんですが、どの角度を向いていても崩れないというか。横顔、後ろ姿、変わる表情、果ては脇役やモブまで、とても綺麗に丁寧に描かれる漫画家さんだなぁと思いました。
アクションも素晴らしく、随所にあったコパスの見せ場たる狡噛対槙島の対決シーン。シラットは非常に見栄えのする動きだそうで、それだけに絵として描写するのは大変だったのではないかなと思いますが、そこも静止絵として十分かっこ良く描かれておりました。
アニメのストーリーを追いつつ、本編ではカットされたり変更された箇所を、小説やシナリオ台本などの部分から引っ張ってきて、本編とは少し改変した展開も、個人的には好きでした。
中でも印象的だったのは二話と三話。
グレイスヒルでの出来事と、八王子のドローン工場での出来事でしょう。

グレイスヒルで色相の濁りが感知された少年を確保した際、本編ではあっさりと幕引きし、とっつぁんが少年を連行してから病室シーンへという流れでしたが、常朱ではこの場面でこーがみさんが現れ少年にドミネーターを向けて発砲するか否かを朱ちゃんに問うという物になっていました。シビュラの裁量ではなく、監視官常守朱としてあんたはどうしたいんだ、と問うた訳ですね。そこで初めて朱ちゃんは自分の正義は自分で決めるんだという事に気づきました。
そして本調子じゃないこーがみさんに肩を貸して公安局に帰るシーンで、そういう上司の下でなら猟犬では無く刑事として働けるかもしれないというあの展開と台詞に繋がるという!これは素敵な改変ですよ!グッときちゃいました。

そしてドローン工場では終盤ですね。金原を誘き出して執行する際のシーンが、弥生ちゃんからオンラインに接続されたドミネを受け取るシーンが、朱ちゃんが排気ダクトを通ってこーがみさんにドミネを届けるというシーンになっていました。
アニメの展開もスピーディーで面白いので好きなんですが、漫画版の改変はまたアニメ本編とは違った良さで好きです。
部下を信じろ!というこーがみさんの台詞も素敵ですし、朱ちゃんがドミネを届ける事で二人の絆がまた一つ強く結ばれたようにも思えます。
両方を別媒体で堪能できるという、なんとも美味しい粋な計らいかと( ̄▽ ̄)

過去編である弥生ちゃんのお話が描かれなかった代わりに小説版の番外編を漫画として描き起こして下さってたり、コパスファンには全巻通して損のないシリーズになったのではないかと思います。少なくとも、私は大満足ですよ!
特に個人的に、三好先生のこーがみさんがかっこ良過ぎて////
毎回鼻血もん!毎回心を撃ち抜かれる!毎回悶える!と、私の萌えセンサーがオーバーフローを起こしてました(笑
いや、ほんとカッコイイんですって!漂う色気と鎖骨が!!!(これ大事

読み終わって「あーあ、終わっちゃった…」感が凄くて。
もっと見てたかったなぁ…って。
そう思って、あ、自分こんなに三好先生の描くコパス好きだったんだ!って改めて気付いたという(笑
アニメ原作で漫画に起こすという流れで、「これはアタリだ!!」と胸を張って言える作品ってそれほど多く無いんですが、この方に関して言えば堂々とアタリだ!と言えますし、寧ろ三好先生が一期のコミカライズ担当で良かった!と心から思えますね。
欲を言えば、もっともっとこの方の手で漫画化されていくPSYCHO-PASSを見たかった。
またいつか、スピンオフでも良いから、三好先生の描くこーがみさんが見たいです。PSYCHO-PASSが見たいです。

本当に本当に心から「長期連載お疲れ様でした!」と「こんなにも素晴らしく描いて下さってありがとうございました!」とお伝えしたいですねぇ。

感謝と敬意を込めて。
三好先生、ありがとうございました。
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PSYCHO-PASS2 最終話


PSYCHO-PASS2 第11話「What Color?」
一日遅れで視聴させて頂きました。
終わっちゃいましたね…。短いようで、やっぱり短かった1クール。
感じた事、考えた事、たっっっくさんありましたが、とりあえず無事に完走した事に、お疲れ様でした!と言いたい。
短い期間と脚本家や携わるスタッフのほぼ全員変更という、同じ作品でありながら一期と比べてかなり異なった条件下、面白かったという面と「これは一体どういう事だ!狡噛!」とギノさんばりに質問したくなるモヤモヤした面と、色々紆余曲折のあるシリーズになったかなぁという印象です。
それはこの最終話にも集約されていたように感じます。

物語の一区切りとしては、綺麗に片付いたというより、無難な着陸をしたと言った方が良いんでしょうかね。
鹿矛囲くんが達成したかった「シビュラの色を問う」という願い。それは即ち、本来裁けない集合体としてのサイコパスを裁く事により、「人」として認識されてこなかった自分自身すらも裁けるようにするという事。
WC?とシビュラに問いかける一方で、鹿矛囲くんは自らの色が何色なのか知りたかった。自分にも色が欲しかったのかもしれませんね。

この集団的サイコパスという新しい認識領域。
このシリーズの本題であったのだと思うし、これが今後のサイコパスに何らかの波及を見せそうな気がしますが、この新設定に決着がついてしまった事で、それを理解するのにかなりの時間が掛かりました。

そもそもシビュラを構成している構成員(脳)は、免罪体質者で構成されているんですよね。個人では誰一人、正確な犯罪係数を計測できない。言わばイレギュラーであり、社会の定義から逸脱してしまった側の人達。
イレギュラーをそのまま放置してはシビュラは全能性を保てないし、秩序の維持もできないことから、彼らを秩序を統べる側、社会を監視し動かす側に引き込む事で、社会からイレギュラーの存在を取り除き且つ、シビュラは平等で公平性のある思考を確立できる今の状態を作り出せている訳です。表向き。
しかし、この集団的サイコパスという新しい認識を確立してしまうと、個々では無く集団として一つのサイコパスを計測しその値を出す事が出来てしまう。
個では無く、統合したものを一つに括って、纏めて裁けちゃうよという事になるんですよね。
一人一人を個別に測るとクリアな数値でも、それが一塊りになると必ずしもクリアになるとは限らない、と。
それ故にシビュラは自分で自分を裁いた上での自己破綻を恐れた。
鹿矛囲くんは認識すらされなかった自分に色が戻り、人だろうがシステムだろうが、法の裁きの前では何一つ例外はないのだという事を証明したかった。

鹿矛囲くんに「お前の色は何色だ」と問われたシビュラは、自分達の立場を壊さない為に必要な最善の選択として、集合体の中から個としての東金美沙子を切り捨てました。
更に、管理されている200体以上の脳の中から、害悪になりうるとする構成員を順に選別、排除していく事で、自らを裁いた。
遂に集団的サイコパスを認めたという事なんですよね。
シビュラとしてのサイコパスを自ら数値化し、割り出す事で自身も裁きの対象にし、そしてその中から数値を上げている要因となっている脳味噌を切り離す。足し算し続けていたものを、今度は引き算する事で、上昇した集団としてのサイコパスを調整し0に戻した、クリアにしたという事でしょう。これがシビュラがシビュラを裁いた結果。

しかし此処で一期の設定を踏まえている視聴者からすると、どうしても消化できない問題点が幾つか浮上してしまうんですよね…。
まず一つ目、東金美沙子にドミネーターを向けた時、オーバー300の数値が出たあれは、誰の数字だったのかと言う事。さっきも言った通り、シビュラの構成員は全員免罪体質者である為、個人としての数値が正しく計測される事は無い…はずなのですが…。
二つ目、集団的サイコパスを計測できるように進化(システムの計測領域の設定を変更した)、それが確立された事で自らを裁きの対象にしたシビュラは、正しい裁量が出せない筈の免罪体質者の中からどうやって害悪となる個の脳味噌を断定したのか。その判断基準はなんだったのか。

東金母に関しての、あの犯罪係数の真意は何とも言えませんが。仮説を立ててそれっぽく解釈すると。
●あの犯罪係数はシビュラシステム全体の集団的サイコパスの数値で、それに基づいて東金母は執行された(この時点でシビュラは集団的サイコパスを認可したという意味)
故に、その後システムの中枢で脳味噌単体にドミネーターを向けた時、東金母を排除した後なので計測数値が若干低下している。
●東金母の切り離しは、飽くまで集団的サイコパス下の裁きの最初の段階であり、鹿矛囲くんに促され無くても他の害悪となりうる脳味噌の排除はシビュラの予定調和に含まれていた。
●前回朱ちゃんに、全員でよく考えなさいと言われて、東金母抜きでこの件に関する落とし所の協議が行われていた。
●集団を集団として裁けるようになった為、害悪を排除した事でシビュラは係数が下がり、鹿矛囲くんは「集団」としてドミネーターの認識下に入り、犯罪係数が計測できるようになった。

一方で。あの数値が東金母個人の計測値だったと仮定すると、一度シビュラに取り込まれ集団としてサイコパスが計測された事により、免罪体質者の絶対の権限だった「正しく測定できない」という概念が崩壊。集団の中で計測されれば、個人を個人としても計測できますよという事になる。といった所でしょうか…。しかしこの世界での免罪体質者は飽くまで「正しく測定できない」という垣根がありますから、この仮定は少々無理やりに曲げた感がありますが(^_^;)


免罪体質者の定義に関しては、シビュラが集団的サイコパスを計測するようになり、自らを裁きの対象にした訳ですけど、その中でどの個体が全体の数値を上昇させている原因なのか、全体にとっての悪玉なのかをシビュラはどうやって見つけ出したのでしょう。
算出された犯罪係数が全てである秩序に於いて、裁量出来ない。そんな裁くに裁けない存在である筈の人間の善し悪しを、彼らはどうやって推し量ったのか。これまで明かされてきたシビュラという物の設定上、それらを判断できるような基準は彼らの中には存在していないはず…なんですけどね。

よもや、「こいつ調和乱すし、悪そうだから…」とか、「肉体持ってた頃にヤバい犯罪しまくってたから」とか、そんな感情論で仕分けされていた…なんて言いませんよね?
そんな設定崩壊な事、なってませんよね??(白目
そうすると現段階の辻褄は合いますが、システムとしての崩壊は益々避けられないでしょうし、シビュラシステム自体の存在意義そのものも益々不明瞭になっていくような…。
恐らく私の中で一番の引っかかりになっているのはこの問題点かもしれません。
裁けない事が前提である筈の枠の中で、何の判断基準で。これが解消されない限り、前提が崩壊してしまうじゃないですか。となると、その後に連なるものも崩壊してしまうのですよ。
この一点さえ解消されれば、集団的サイコパスという物がシビュラにアップデートされた事はそれなりの解釈で腑に落ちるのに…。


この辺りの事は尺の都合か何なのか解りませんが、説明っぽい注釈がなかったのでモヤモヤしてます。一期の設定見て、「このシステム、不完全だけど、怖いけど、此処まで自分達は凄いんだ!と堂々言える分、なんかある意味凄いかも」って思えていたものが、すっかり繋がらなくなってしまっているようで…ね。
何度もオフプロ読み返してしまいました(笑

それから鹿矛囲くんが朱ちゃんに語りかけた事。
ドミネーターを撃つ側のサイコパスが、対象である集団的サイコパスの計測数値に影響を与えるのだとしたら?朱ちゃんがもしその立場にいたなら、シビュラは怪物では無く、本物の神になれるかもしれない云々の件。
あの部分は一体なんだったのでしょうね。
詰まり、朱ちゃんの考え方や理想がシビュラに伝染する事によって、彼女を取り込んだ事と同等の現象、サイコハザードの好転版が起きるのでは?という話ですか…??
一人、清廉潔白な人間が投入され、それに影響されて全体も清らかになっていく??
そんな夢物語な事、あり得ますか?
あの鹿矛囲くんの台詞のあと、狼狽える朱ちゃん見ているとまた何か大きな物を背負わされた感が否めないんですが…。これ如何に。

モヤモヤは残りましたが、結果的にシビュラはシビュラを裁いた(身辺を綺麗に洗い流した)事により、集団的サイコパスという新しい計測領域は確立されました。
そしてそれが確立された事により、今後突出するであろうリスクも。
集団裁きは、何もシビュラや鹿矛囲くんのような「個でありながらの複合体」という物に限らず、解釈次第で一般人の集団も適用対象になる訳ですな。
自分は色相クリアなのに、大衆に居る事で潜在犯と同等に認識されてしまい、裁かれてしまう。そんな危険が魔女狩り社会を引き起こす、とシビュラは言います。
魔女狩り。大衆の中からコイツ悪いやつだ!と多数が認める者を排除する。まさしくシビュラが自身に行った裁きの仕方ですね。
人員の減った今のシビュラの処理能力では、すぐに集団を集団として認識し計測するという事を実用化する事は出来ない、と言いますがこの新しい裁きのルールにより、あの世界は、またこれまでと違ったリスクを背負わされる危険社会になりました。

朱ちゃんに対し、免罪体質者でないにも関わらずシステムの一部に迎えたいという勧誘を聞いていると、やはりシビュラは朱ちゃんの思考を欲しがっているのでしょうな。(という事は今期殺害しようとしていたのは、東金母の一存だったのか?)
その誘いを「今は」乗らない。と言う風に返したのが、また何とも逞しい。
シビュラが今のシステムを破棄するというなら、その時は一緒に地獄にいってあげると言います。
それは集団的サイコパスを認めさせた朱ちゃんが社会に対して後々負わなければならない責任なのかもしれません。
…しかしこれ、フラグじゃないよね?朱ちゃん、自分で死亡フラグ立てた訳じゃないよね??
フラグじゃなくてブラフ。本気では無い、単なる言葉遊びだと思いたい。。。

結局今期はシビュラシステムの膿み出し作業のようなシリーズだったのかなぁとか思いつつ。最終話なので個人的に気になった各キャラの総括なんかを残そうかな。
主観がゴリゴリに入りますから、ご注意を。



常守朱
今期逞しさに磨きが掛かって、更なるスーパー朱ちゃんへと進化した彼女。気苦労絶えない道はまだまだ続いていきそうですが、それでも諦めずに立ち向かう姿、一人でも踏ん張っていく姿は、さすが今期の主人公!といった感じでした。
その有能さが際立つシリーズでしたが、こっそりエア噛さんを召喚して、自分の原動力にしていた事やその瞬間だけは「朱ちゃん」に戻れた所を見ていると、少しホッともしました。
ゆきちゃんに続いてお祖母ちゃんまで失って…。それでもくよくよ出来ない境遇は果たして幸せなのか不幸なのか…。なかなか難しい立場ですけど。
最後のシーンで燃焼途中の煙草の火を消す描写が入ってましたね。一期の最終話に被る演出ですが、あれは自分の中のエア噛さんから卒業したって感じなのでしょうかね。そのだけの逞しさを手に入れたよ!と。
個人的な妄想をすると、あの直前まで彼女は召喚したエア噛さんと会話してたんじゃないかなーって。お別れの挨拶、的な。ちょっと晴れやかな雰囲気に見えたので、きっと穏やかに決別したんじゃなかろうか、そんな所まで想像しました(笑

宜野座伸元
ギノさん。執行官に落ちてからのシリーズだけあって、一期の時と違い丸くなりましたねぇ。
融通が利く、そんな余裕を心に持てるようになった。きっととっつぁんが見たら、心配しつつも安堵している一面があるんじゃないかなって。
でももうちょっと活躍してる所見たかったー(^_^;)
ギノパンチしか活躍の印象が無く、終始朱ちゃんの心配役なのは少し淋しかったですね。
劇場版はポニちかさんになってるとかで。活躍あるといいなぁ。

霜月美佳
彼女は最後まで彼女でしたねぇ…。
起死回生あるのか?と期待しましたが、色んな意味でその期待を裏切ってくれました。
監督さんが最終話のアフレコ終了後のツイートで、霜月良いわーと呟かれてるの見て、これは良い子に転身するのか?と思った時期が私にもありましたが…。これは良い感じにろくでもないというグソンさんの言葉的な評価だったのか…とこっそり納得。
彼女は臭い物に蓋をして、貝になる事で自分の人生と立場と自身そのものを守る方を選んだんですね。非常にずるい、地べたを這うような生き方ですが、これはこれで逞しいというか何と言うか。一種の処世術、なのかも?
当然、した事の罪は消えませんし、罪はいつか必ず裁かれますから、彼女が幾ら口を噤んで耳を塞いで目を逸らしていたとしても、いずれは裁き場に立たされるのかもしれません。
その時に初めて、自らが犯した過ちの本当の大きさに気付くのかも。

東金朔夜
この方の最初の印象はいつ、どの辺りで霧散してしまったのか…。
1話目のインパクトを踏まえると、何か大物感を期待していたんですが。結局他人の仕草をトレースして染物職人に徹していたくらいで、小物臭を残しての退場となってしまいました…。
中盤でもしかしたら鹿矛囲くんラスボスじゃなくて、この人がラスボスなんじゃね?と思ったりもしましたが…。まさかのマザコンこじらせ四十路で終わってしまうとは。誰か予想した人いたんですかね。どうしてこうなった(笑
彼の犯罪係数が上昇したきっかけは、やはりママンだった。大好きな東金母が自分の元から離れてしまう事を嫌がって、それなら殺してしまおうなんて…。とんだ思考回路だw
あれで何もかもが壊れてしまったというのでしょうかね。
それで人工的免罪体質者が最高値を叩きだす漆黒さんに変化?
人工的であって先天的な体質じゃないからって事でしょうか。
この方を含め、東金美沙子を始めとする東金財団は、各スピンオフエピソードで間接的に名前が出てきたりと、何かとシビュラ社会で名前を耳にする事があるので、今後何らかのスピンオフ小説が展開されると予想。まだこの一族が行った実験も含めてですけど、明かされていない事いっぱいありますよ!

雛河翔
朱ちゃんを「お姉ちゃん」と呼んで顔を赤らめたり、朱ちゃんの身を案じて拝んだり。何かと可愛げのある1係の愛嬌担当に変身した雛河くん。
当初、槙島役の櫻井さんが再びCV担当という事で、これはもしや槙島と繋がりがあるのでは?と大勢の人に予想されていましたが、二期終了時点でそんな事はありませんでした。
そもそも彼の事はまだまだ明かされないですよね。鬱気味でコミュ症で、精神安定剤をご飯に塗して食べないといけないくらいしか…。
この子もスピンオフ化されるのか、それとも今後展開されるかもしれないシリーズまで温存させるのか…。

六合塚弥生
旧1係のメンバーでありながら、ギノさんと同じくあまり活躍が見られなかった弥生ちゃん。
でも彼女のシャキっとした空気感とか、凛とした立ち姿を見ていると、場の空気や絵が締まりますよね。これは一期の頃から思ってましたw
勘の鋭さを表すように、最後に霜月ちゃんに葵お祖母ちゃんの情報がリークされた事に触れて、誰であっても絶対に許さないと彼女の目を見て言っていましたが、これ多分弥生ちゃん気づいてますよね。目の前にそのリークした人間がいるって。
でもそれを面と向かって突き付けたりはしない。待っているんじゃないかなぁ。自分の過ちを受け入れて霜月ちゃん自ら自首するの。

唐之杜志恩
今期もお色気担当だった志恩さん。一期と変わらずの忙しさで、公安を支えてくれましたねぇ。
意外と雑賀先生とのやり取り、好きでしたw
劇場版での活躍もあるのかなぁ。あると良いなぁ。

雑賀譲二
今期1係、いや公安のブレイン担当だった雑賀先生。
一期ブレインだったこーがみさんもとっつぁんもいなくなった今期、雑賀先生の頭脳の有能さは特に際立っていました。
この方が居たから聴取で詳らかにされた新事実も多かったですよね。
何よりこーがみさんがいなくなって、朱ちゃんの心の拠り所になってくれていたのが良かった。
でもまた施設に戻ってましたね。短期バイトだったのか…。それもどうやら雑賀先生の犯罪係数は収容されるような数値では無いらしい。それでも戻るのは、自分の言動に他人の色相を濁らす可能性を感じているからでしょうか。
まったく、どこまでも素晴らしい先生です!

鹿矛囲桐斗
今回の悪役ポジションの彼。ちょっと行動理念が希薄で伝わりにくい時期もあってか、東金さんにラスボスポジを奪われる噛ませなんじゃないかと思った時もありましたが、見事ラスボスの立場を死守しましたな。
どうしても槙島と比べられてしまう所為か、キャラクターとしての印象はカリスマとは言えませんでしたが、彼の行動理由やその正体が解ってからは、派手さは無いけど強かな悪役として退場したのかな、と思います。
仕掛けた事の罪は消せませんけど、完全悪になりきらなかったのも、コパスの悪役らしいかと。
最後、朱ちゃんに未来の可能性を見出して、少しだけ期待の眼差しを向けた辺り、彼は自らが死んだ後の世界への希望をうっすらと感じていたのかもしれません。その上で自身は裁かれる事を受け入れた。色を取り戻せた事は彼にとって本望であったし、シビュラが裁かれれば自分も裁かれる覚悟はとっくにしていたようですし。元より長く生き延びるつもりはなかったのかも。
今期のOP、エニグマティックフィーリングの歌詞を見ていると、そんな気がします。

狡噛慎也
いつ出るの!いつ出るの!と言われながら、結局エア噛さん出演しかせず本人は全く出なかった今期。まぁね、劇場版までとってあるのよ感アリアリでしたし…。出て来て欲しかったなぁって思いながら、一方で予想の範囲内の扱いかなぁと。
でも朱ちゃんの中でのエア噛さんが何より近い位置づけに居て嬉しかったです。
朱ちゃんにとってこーがみさんは未だに大きな存在なんだなぁって。同時に彼の召喚で気持ちが落ち着いている辺り、ストレスケア薬剤なんか目じゃない効力を持ってるエア噛さんマジパネぇっす(笑
この人居たら、どんな困難も乗り越えられそうな気がしますね。
劇場版では敵対関係になりそうな様相を見せていますから、彼の活躍はこれから!って感じでしょうか。



あれこれ解明されていない事実とかありますけど、取り敢えず今期の目的は「集団的サイコパスを確立させる」という事だったのでしょうから、その一点に於いての目的はきちんと達成され、纏まったのかなと思います。流れの粗さは否めませんけど、これが劇場版乃至今後のサイコパスシリーズに必要な布石になるんだと思うので、どう生かされていくのか楽しみです。
ともかく!シビュラがなんで自分の中で個人の白黒を特定できたのか、その判断基準だけは、なるはやで明らかにして頂きたいです!!切に!!

PSYCHO-PASSゼロ -名前のない怪物ー

 
「気に入らなければ俺を撃て」




PSYCHO-PASSゼロ 名前のない怪物。
サイコパスの原点であり、主人公狡噛慎也が執行官に降格するそのきっかけとなった「標本事件」。
全ては此処から始まった、と言っても過言ではないこの事件の真相が描かれた本作。
サイコパスという作品をきちんと理解し、そしてその台頭である狡噛慎也を”知る”という意味でも、この一作は絶対に避けて通れない物語になるだろうなと、サイコパスにハマって少しした頃に思うようになっていました。

一期本編に、標本事件や佐々山光留という人間が出てきたのはほんの僅かなシーンや回のみ。こんなにも重要で作品の原点でありながら、その真相や顛末は殆ど明かされていませんでした。
けれど、その断片的な情報から、はっきりと伝わってくるのはこの事件が齎した結果が、この物語に、狡噛慎也という主人公に、甚大な影響を与えたという事。人の人生、性格、価値観すらも180度変えてしまったその事件が一体どんなものだったのか、より深く知るために、読破させて頂きました。
以下、ログを残す意味でも感想をば。
ネタバレアウトな方は閲覧を控えて下さいませ。

PSYCHO-PASS2 第10話

PSYCHO-PASS2 第10話「魂の基準」
早速視聴しましたので、その感想をば。

もう10話なんですよねぇ。1クール全11話なので、いよいよ物語はクライマックスへ待ったなし!
今週は鹿矛囲くんが遂にホロ偽装の手段を捨てて、自ら公安に、シビュラに仕掛けます。
難しい推理回というよりは、前回の「全能のパラドクス」を更に解り易く解読した回って感じでしょうかね。そして最終話へ向けての行動基盤を作る回、とも言えると思います。
今回も展開があちこちで怒涛だったので、サイド分けして書いていこうと思います。

まず鹿矛囲サイド。
地下鉄を乗っ取り、車両を一か所に集め周囲を汚染水で満たす事で、外部と車両が格納された退避区画を分断、完全に孤立させ乗客を人質にテロを起こします。
その乗客に一人一人ドミネーターを向け、その計測値を見る鹿矛囲くん。
軒並み100越えしててびっくりしました。
まだ状況がしっかり把握出来てい無さそうな段階で、そんなホイホイ上がっていいのか!?とも思えなくないですが、閉塞空間を何となく感じただけで犯罪係数ってそこまで上昇するんでしょうかね。そうなると、システム機器の事故で閉じ込められただけでも潜在犯になってしまうという事になり兼ねない気もしちゃいますが…(^_^;)

そんな異常事態発生の車内で、鹿矛囲くんは100以上の乗客に向けてパラライザーを放ちます。
麻酔なんで死ぬことは無いですが、それを見たらハザード起きちゃうのは必然ですよね。
犯罪係数300に近い者から麻酔で眠らせろと命令しているのを見る限り。無差別殺傷というより、それを回避するために選んで制圧しているとも受け取れますね。
そしてその狙いは他にもある様子。
どうやら、そうして一斉に犯罪係数を測定する事で、シビュラに演算処理の負荷を故意に与えているようなのです。

ここでおさらいなんですが、シビュラシステムは犯罪係数の測定以外にも市民の福利厚生や職業適性に、その演算システムが使用されています。日本国民全員の判定が常にシステムに求められている事で、演算タスクは圧迫され続け、処理の順番待ちをしている状態です。しかし公安局の使うドミネーターは、その順番待ちに優先的に割りこめるという権限を持ってます。本来医療機関などできちんと計測した犯罪係数の測定結果が、時間のかかるものであるにも関わらず、ドミネーターを向けて瞬時に犯罪係数を割り出せるのは此処に起因しています。これは、とっつぁんが一期で言ってましたね。
一人を計測した所でさしたる割り込み処理にならなくても、一度に何十人、何百人と優先処理を掛ければ、システムそのものに対する圧迫は膨大なものになります。そこが鹿矛囲くんの狙いだった。彼がドミネーターを集めた理由の一つが、また明らかになりました。

そうして次々処理を要請してシステムが圧迫されると、シビュラは渋滞する演算処理を円滑にする為にバイパス経路を使用し始める。これを見つけ出す事で、シビュラシステムの中核が何処に設置されているのかを見つけ出すつもりだったようです。
要するに一期の槙島&グソンとは逆パターンである、と。彼らは処理する情報の流れから、既にノナタワーにシビュラに関する何かがあると踏んで、そこへ向かいました。しかし鹿矛囲くんはシビュラシステムが脳の集合体で、その処理に一定の法則を見つけ出す事でその集積地たるシビュラの居場所を見つけ出そうと、そういう事のようです。


一方公安サイド。
葵お祖母ちゃんが拉致されたという事で、朱ちゃんに待機命令が下ります。
1係のオフィスで居ても立ってもいられない様子の朱ちゃん…。
そりゃそうでしょうよ。こんな時の待機程、辛いものも無い。
堪らずオフィスを出ようした矢先、現れたのは東金さん。
局長命令ですよ、と朱ちゃんを引きとめますが、どいて下さいと朱ちゃんの足は止まりません。その姿を黒い笑みで見送る東金さんが黒い!黒過ぎる!!w
あの表情はヤバいですねー。ザ・悪役って感じの下衆顔、ありがとうございます(
そして廊下に出た朱ちゃんを見つける霜月ちゃん。
「私は悪くない。私は悪くない。私は悪くない…」
まるで「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」と連呼する某少年ばりに、震える体を押さえながら呟いてます。
もうね、この子の色相これで濁って無いって言うなら、朱ちゃん以上のメンタル美人ですわよ。
どんどんダメな子になってしまって…。挙句、東金さんに加担しちゃってるんだもの…。
間接的に犯罪に関わったという事実は彼女の色相、犯罪係数にどのくらい影響を与えているのか。
全てが決着付いた後、彼女の色相が濁ったのは東金親子によって強要された故の上昇だったと免責されようものなら、それはそれは強いバッシングの対象になるでしょうな…。知らなかった、そうするしかなかった、では済まされない領域に行ってしまったのは事実でしょうし…。
寧ろこれでギリギリ100以下という事になると、彼女が免罪体質でも無い限り説明付かない気も…(^_^;)

エレベーターの中で、朱ちゃんは霜月ちゃんから東金母が鹿矛囲くんの手術に関わっていた事を聞きます。これは事実なんですが、何故それを此処で?というと、鹿矛囲→シビュラでは無く、鹿矛囲くんの目的は飽くまで東金財団への復讐なんだと陽動させるつもりのようです。悪いのは鹿矛囲くんの方だよ!と言いたいのかな。それ即ち処分という裁きを与えるに妥当という構図でしょうかね。


さて、朱ちゃんがその足で向かったのは禾生局長の元。
禾生局長が鹿矛囲くんを始末する方向に踏み切ったこと、そこに言及します。
霜月ちゃんの陽動とは裏腹に、鹿矛囲くんの目的が東金財団では無い事も、朱ちゃんは見抜いていました。
この辺りで鹿矛囲くんがドミネを向けてシビュラの罪を問う。シビュラがシビュラを裁くという結果的な構図が明確になります。
否定も肯定もしない局長はそんな事態にはさせないと断言し、その為の措置として3係が動いていること、孤立した退避区画上部に爆弾を設置している事を教えました。東金母は退避区画ごと、人質ごと、鹿矛囲くんを葬り去ることで決着を着けようと言うのですよ。どのみち、人質は既に潜在犯となっているだろうから、此処で一斉処理をしても結果的には同じである、と。
体裁を取り繕っていますが、これは個がかなり強調された判断ですよねぇ。
一期のシビュラが、受け入れ難くも曲りなりにシステムとして君臨していると印象付けたあの圧倒的な理論が、すっかり一人の意見によって左右されているように見えてしまって…。


『シビュラシステムに支配される世界は、決してディストピアでは無い』

一期の頃、サイコパス制作サイドのスタッフの共通の認識であったこれは、世界の外である我々視聴者から見ればディストピアに見えても、中に居る一般市民にとってはユートピアに見える。そんな内と外の違和感や齟齬がこの作品の大前提だったんですが…こんなにも一人の意見が大いに反映されてしまっていて良いのかと思っちゃいますね。これで中に住んでいる人間にとってのユートピアになっているのかどうか…。。。
まぁ切り捨て云々は縢くんの件然り、一期の事からある矛盾点というかシビュラの弱点でもあるので、その許容範囲なのかなぁ。

そんな中、朱ちゃんに明かされた葵お祖母ちゃんの状態…。
これは正直、精神にくるものが…。

前回のCパートで、これは何かの前振りで、殴られたのは東金さんだろぉぉぉ!?と自己暗示しましたが、無情にもその淡い期待は砕かれちゃいました。
お祖母ちゃん………。撲殺ですってね。痛かっただろうなぁとか、あーちゃんのお仲間さん?って思ってただけに何故そうなっているのか解らないままだっただろうなぁとか、遣る瀬無さでいっぱいになっちゃいました。
おのれ、東金許すまじ(

「自分を取り戻すための殺意を肯定しろ」

東金さんはそう朱ちゃんに向かって念じます。要するに復讐鬼になって色相を濁らせろ、こーがみさんと同じような状況になれという事でしょうな。

朱ちゃんは一人、オフィスでお祖母ちゃんの死を噛み締めます。また身近な人を助けられなかった。その思いから、自分の中ではっきりとした殺意が次第に大きく、膨れ上がっていくのを感じていきます。
絶叫と高まる息遣いにハァハァ…じゃない!ハラハラしましたよ!←

泣き噎ぶ朱ちゃん。どうしようもない絶望に打ちひしがれ落ちゆく彼女を、しかし引き留めたのは誰であろう、こーがみさんでした。

狡噛「殺すのか?奴を」

静かな問い掛けに、画面の前で絶叫。
「こぉぉぉがみさん!きたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
待ってた!すごく待ってた!
ここぞのタイミングで、抜群の安心感を与えてくれるエア噛さんの登場です。

朱「解りません…でも、そうすべきなのかも…」
狡噛「らしくないな。あんた言ったよな?法が人を守るんじゃない、人が法を守るんだってな。それを信じているから、あんたは俺を止めようとしたんじゃないのか?」
朱「そうでした…あの時は」
狡噛「…まぁ、俺が言えた義理じゃないか…」
朱「シビュラに鹿矛囲は裁けない。でも鹿矛囲を止めなくちゃいけない。もう手段が無いんです」
狡噛「…違うな。もう手段が無いんじゃない。今は手段が無いだけだ。可能性のピースはもう揃っている筈だ。あんたが躊躇っているだけで…」
朱「失敗は許されない。でも…」
狡噛「賭けてみても良いんじゃないか?負けるなよ」
パシッ(優しく頭をはたく音)

なんて展開ですよ!!これにトキめかずして、いつトキめくの!?
煙アロマ焚いてないのにくっきりはっきり召喚されたエア噛さん。朱ちゃん、どんだけこーがみさんの言葉を聞きたかったのか。幻想でも良いから、今にも絶望で頽れそうな足を踏ん張る為の支えが欲しい。そんな願望の表れだったのかなぁ。
それは同時に、彼女の中での支えが、未だ自分の中に居る「時が止まったままのこーがみさん」しかいないって、かなり切ないものがありますね。このやり取りで自分を見失いそうになっている朱ちゃんを見ていると、その偶像さえも崩れてしまったら、その時こそ彼女は彼女で居られるのかと…。
それにしてもこーがみさんの安定感は凄いですね。この人が出てくるだけで、朱ちゃんのみならず多くの人が安心を感じている様子を見ると、更に凄さを感じます。
なにより「賭けてみても良いんじゃないか?」からの件は、本当に声が優しくて。そこだけ抽出してずっとリピートして聞いていたいくらいに、心地が良いです(笑
もはや朱ちゃんの意志に応じて背後に佇むようになってしまった彼。生霊のようにも見えるし、守護霊のようにも見えますね。強力な起爆剤でもあり、強靭な心の守護者なんて、どこまでカッコいいの、こーがみさん。


エア噛さんに踏ん張る力を貰った朱ちゃんは、今は悲しみに立ち止まらずに突き進む事を選択します。
拘束していたクワシマを引きこんで、鹿矛囲くんに交渉を持ちかけます。そしてその動きを察知したシビュラもまた、その間に割り込み。三つ巴の様相を呈してまいりました。
ここで再び「全能者のパラドクス」が砕かれて説明され、鹿矛囲くんの望みであるシビュラがシビュラを裁くという事を成し遂げさせると仄めかします。
シビュラは一度裁かれるべきだとね。シビュラが裁かれる事により、集合体としてのサイコパスが認められる形になります。そうする事で一固体では免罪体質で測れないサイコパスも、集団として裁量する事が可能になる。それは同時に歩くシビュラである鹿矛囲くんにも言える事。
イレギュラーをイレギュラーでは失くす方法ですね。これは解り易い。
しかし当然、シビュラはそれを受け入れないでしょう。自分で自分を裁こうなんて、彼らにとってのメリットが無いですから。拒否するのが定石です。

シビュラは朱ちゃんの監視官権限を奪う事で、身動きを封じようとしますが…。
朱ちゃんはそれがシビュラの聲では無く、一個体である東金美沙子の聲であると突き付けます。禾生局長の中に、東金母が入っている事を見抜いたんですなぁ。
自分達の立場を確固たるものにし続けるには、何を選択すべきなのか全員で考えなさい。朱ちゃんの強い意志が滲み出てます。漢前女子は強い!
それを傍受していた東金さんは、何やら不穏な動き。

3係は局長命令で爆弾を起爆させます、が…。何故か爆発しない。そこに登場する酒々井監視官。また一人、3係は執行官が居なくなってしましました…。もう3係が噛ませ過ぎて悲しい…。
酒々井監視官は使用された爆薬が一話の犯人の押収品である事を指摘。それが使用されるだろう事を見越して鹿矛囲サイドで操作出来る用細工していたのよ、と言います。
何やらヤバそうな薬を投与して、陶酔した様子の酒々井さん…。薬物かとも思えますが、これが色相をクリアにする薬剤ってやつでしょうかね。

鹿矛囲くんと朱ちゃんの間で交渉が成立した為か、退避区画の排水が開始され、安全が確保された電車内から人質となっていた人達が解放されます。
一方朱ちゃんは鹿矛囲くんと合流するポイントへ。その途中待っていたのは…東金さんでした。
「俺も同行させて下さい」と志願する東金さんに、朱ちゃんは不信感を募らせます。
東金母と鹿矛囲くんの関係に触れたうえで、母親の齎した事の責任から自分の手で鹿矛囲くんを始末する理由がある。例え自分の手を汚しても。
しかし朱ちゃんは「殺すつもりなのか」と問います。
そうして東金さんは答える。
「狡噛執行官ならそうした筈だ」と。



これは東金さんのミスですよね。ここにきて疑いを感じ取って焦ったのか、それとも余裕からか、こーがみさんの名前を出すタイミングを明らかに間違えましたね。
こーがみさんの名前を出してまで、こうしただろうと紐付けした事で、朱ちゃんは却って冷静になったように思えます。
それより前に、彼女は自分の中のこーがみさんに会ってますから、その差、違和感をより明確に感じたでしょうし、疑いを確かなものに変えられた。
何より嘗て、復讐に走る彼を止めようとしたのは他でもなく朱ちゃん自身です。より冷静にならない訳はない。

お芝居はもう止めませんか。
朱ちゃんは東金さんの表層の演技を指摘します。
どの段階で演技だったと解っていたのか。ちょっと推し量れないんですけど、或いは最初から解っていたけどわざわざ指摘する事でもないからと、見て見ぬふりをしていたのかもしれないですね。そもそも彼女は脳内で何度もこーがみさんに会っている訳ですから、仕草を真似て目の前に居られても、一時的に重ね合わせる事はあっても、最終的に彼女が東金さんをこーがみさんと思い彼の思惑に嵌まってしまう事は無かったのかもしれません。

此処から朱ちゃんの推理パート。東金さんの間に明確な線引きが成されます。
いつ、そんな詳細な情報を仕入れたの、と思ったら霜月ちゃんの報告書見ていたんですね。
まぁギノさんの報告書をこっそりこーがみさんが見れたくらいだから、この辺りは介入してこっそり閲覧とか出来そうですな。
それにしても詐称された東金さんの登録内容。やはり28歳になってました。
28歳が実は41歳だったとか…。どんなカラクリ使ったらそんな鯖読みを堂々と出来るのwとか思っちゃいました(笑
洗い浚い調べ上げた朱ちゃん、有能だ。
黒く染めたかったのねって、ここまでバレてたwww

「彼女は君程度には染められないよ」

そうしてやってきたのは鹿矛囲くん。その姿を見て、東金さんは所持していたナイフを出します。そして鹿矛囲くんもドミネーターを構える。

計測された数値は暴露されたデータと同じ769。言わずとも最高数値ですよ。
ドミネーターがエリミネーターに変形して、東金さんに照準が定められます。
ドミネーター相手にナイフとは、これ如何に。と思えますけど、恐らくシビュラが、東金母が自分を処分する筈がないという驕りと、鹿矛囲くんを始末するには物理しかないという理由からってのがありそう。しかし圧倒的にリーチが短いナイフ…。ドミネーターが作動しないという確証は正直無い。シビュラは総合的な利害で、切り捨てる時には切り捨てちゃいますからね…。

「散れ、漆黒…」

撃ち放たれたドミネーターは果たして東金さんへ向いたものなのか否か。
次回最終話ですが、冒頭で東金さん死んじゃってたら、小物臭がキツ過ぎるので悪あがきにもう一悶着引き起こしてくれることを期待します。

なんだろうね。朱ちゃんの強さに脱帽する一方で、身近な人の死をちゃんと受け止める暇も無く進まなくちゃいけない。それは彼女の強さに映るが、同時に危うさにも映る。
全部の事が終わって一段落したら、朱ちゃん思いっきり泣くんだよ?その時は泣いて良いんだからね?と声を掛けてあげたいような。そんな切ない展開です。


さぁ!来週はもっと長く感想を書く事になるだろう!また一週間、色々想像を巡らしながら待ちたいと思います。
最後に一言。
こーがみさん、エア噛さんでもべらぼーにカッコイイです。ほんと、惚れるぅぅぅ。

エヴァンゲリオン展@宇部市湖水ホール


庵野監督の出身地である山口県宇部市。ときわ公園内にある湖水ホールで開催中のエヴァンゲリオン展に行ってきました。

小雪が舞いそうな程の寒空の下、ホールに入ると早速大きな初号機とパネルがお出迎えしてくれました。決して外出向きの気候では無かったものの、見に来ているエヴァファンも沢山見受けられました。


ホール内の展示品は、テレビ放映版から劇場版三作までの原画やセル画。更にはコミカライズ版の漫画原稿に、作中に登場する施設のミニチュア模型。エヴァの骨格を正確に表した模型など、アニメ制作やエヴァに関する資料が1000展以上。
一つ一つが見やすいよう額に入れられ展示されていました。

最初はセル画や原稿が中心で、テレビ放映版の鮮やかなセル画は十数年前とは思えない色彩の美しさでした。
途中からアニメ制作に関する展示品へ。
一枚の絵をどのようにして動くアニメーションへと変えていくのか。
エヴァが走るという動作一つを取っても、一機走らせるのに何十枚と細かく描写された原画が使用されている事や、使徒を倒すシーンという時間にして凡そ5分の映像に、どのくらいの工程が必要なのかを手順を追って知ることが出来ます。
脚本があって、レイアウトがあって、背景があって、エフェクトがあって、3D処理があって、絵コンテがあって、細かなタイムスケジュール表があって、そうして幾つもの段階、幾つもの修正や改善を加えられて完成した映像へ、と流れが解り易く且つ沢山の原画で各段階の指定なども詳しく解ります。
終盤は各キャラの設定原画。衣装もそうですし、表情、配色の指定など、資料集のような設定原画をじっくり眺める事が出来ました。
更に劇場版三作を一作ずつ纏めた原画。あのシーンやこのシーンの色が付いていない状態を見る事が出来ましたよ。

全てをじっくり見終わって思った事は、「やっぱジャパニメーションって凄い!」という事でした。日本のアニメに掛ける手間や技術力は本当に凄いな、って。
庵野監督の言葉が掲載されているパネルに、今の日本のアニメはデジタル加工が主流だけど、そのデジタル処理をする為の原画は未だに人の手で一枚一枚描かないといけない。そこは今もアナログなんですという言葉を見つけて、それがとても心に残りました。
一つのシーンに対して沢山の原画があって、修正された物だと更に複数、指定が書き込まれた同じ原画が幾つも存在していたりして。
一つの作品を生み出すのに、ものすごい時間と手間と人の力が費やされているんだと思うと、これからアニメを見る目が一層変わりそうだなぁと思ってしまいました。

映画でも30分アニメでも、長短の差はあっても必要とされている手順はほぼ同じですから、アニメという物を作るのがどれほど大変な作業の積み重ねか、知ると価値観も変わってきますね。


元々エヴァ自体はファンと言える程の熱を持っていた訳では無く、これまで少し離れた位置で見ていたんですが、作品に込められた人の情熱に触れて、感動と充実感で胸がいっぱいだった私。エヴァ好きである旦那より、エヴァファンと言えない自分の方が何倍も感動してしまうという、とても奇妙な現象が起きちゃいました(^_^;)

このちょっとした温度差に、「あれ、なんで?」と言うと。旦那曰く、それが一般人とアニメ好きな人の違いかもね、と。作品好きな一般人の旦那と、オタクである私は惹かれた点と着目点が少し違っていたよう。…うん、強ち間違いじゃないのかもね。
でも旦那も好きな作品の貴重な展示が見られて満足そうだったので、家族で行けて良かったと思えました。



というか、うちのような田舎県でアニメの原画展が見られるなんて、一生に一度あるか無いかの大問題ですよ!
こんな機会絶対無いと思ってましたもん。
一重に、宇部出身の庵野監督のお陰、なんでしょうね(笑
とても大きな感受性を貰える、貴重な経験をさせてもらえたと思っております。
これはエヴァ好きのみならず、アニメ好きなら行って損は無いんじゃないかなぁと思いますよ。そのくらい得られる物が多いエヴァ展でした。


最後に物販コーナーに立ち寄ってみたんですが、エヴァ展限定商品の数々が凄かった。そしてそれを次々手に取って購入していくエヴァファンも凄かった。
個人的に、宇部で有名な蒲鉾の会社、宇部かまとエヴァがコラボして商品出してるの、なんか興味惹かれました(笑
使徒のコア饅頭もすごい。特に色が(笑