PSYCHO-PASS2 第10話「魂の基準」
早速視聴しましたので、その感想をば。
もう10話なんですよねぇ。1クール全11話なので、いよいよ物語はクライマックスへ待ったなし!
今週は鹿矛囲くんが遂にホロ偽装の手段を捨てて、自ら公安に、シビュラに仕掛けます。
難しい推理回というよりは、前回の「全能のパラドクス」を更に解り易く解読した回って感じでしょうかね。そして最終話へ向けての行動基盤を作る回、とも言えると思います。
今回も展開があちこちで怒涛だったので、サイド分けして書いていこうと思います。
まず鹿矛囲サイド。
地下鉄を乗っ取り、車両を一か所に集め周囲を汚染水で満たす事で、外部と車両が格納された退避区画を分断、完全に孤立させ乗客を人質にテロを起こします。
その乗客に一人一人ドミネーターを向け、その計測値を見る鹿矛囲くん。
軒並み100越えしててびっくりしました。
まだ状況がしっかり把握出来てい無さそうな段階で、そんなホイホイ上がっていいのか!?とも思えなくないですが、閉塞空間を何となく感じただけで犯罪係数ってそこまで上昇するんでしょうかね。そうなると、システム機器の事故で閉じ込められただけでも潜在犯になってしまうという事になり兼ねない気もしちゃいますが…(^_^;)
そんな異常事態発生の車内で、鹿矛囲くんは100以上の乗客に向けてパラライザーを放ちます。
麻酔なんで死ぬことは無いですが、それを見たらハザード起きちゃうのは必然ですよね。
犯罪係数300に近い者から麻酔で眠らせろと命令しているのを見る限り。無差別殺傷というより、それを回避するために選んで制圧しているとも受け取れますね。
そしてその狙いは他にもある様子。
どうやら、そうして一斉に犯罪係数を測定する事で、シビュラに演算処理の負荷を故意に与えているようなのです。
ここでおさらいなんですが、シビュラシステムは犯罪係数の測定以外にも市民の福利厚生や職業適性に、その演算システムが使用されています。日本国民全員の判定が常にシステムに求められている事で、演算タスクは圧迫され続け、処理の順番待ちをしている状態です。しかし公安局の使うドミネーターは、その順番待ちに優先的に割りこめるという権限を持ってます。本来医療機関などできちんと計測した犯罪係数の測定結果が、時間のかかるものであるにも関わらず、ドミネーターを向けて瞬時に犯罪係数を割り出せるのは此処に起因しています。これは、とっつぁんが一期で言ってましたね。
一人を計測した所でさしたる割り込み処理にならなくても、一度に何十人、何百人と優先処理を掛ければ、システムそのものに対する圧迫は膨大なものになります。そこが鹿矛囲くんの狙いだった。彼がドミネーターを集めた理由の一つが、また明らかになりました。
そうして次々処理を要請してシステムが圧迫されると、シビュラは渋滞する演算処理を円滑にする為にバイパス経路を使用し始める。これを見つけ出す事で、シビュラシステムの中核が何処に設置されているのかを見つけ出すつもりだったようです。
要するに一期の槙島&グソンとは逆パターンである、と。彼らは処理する情報の流れから、既にノナタワーにシビュラに関する何かがあると踏んで、そこへ向かいました。しかし鹿矛囲くんはシビュラシステムが脳の集合体で、その処理に一定の法則を見つけ出す事でその集積地たるシビュラの居場所を見つけ出そうと、そういう事のようです。
一方公安サイド。
葵お祖母ちゃんが拉致されたという事で、朱ちゃんに待機命令が下ります。
1係のオフィスで居ても立ってもいられない様子の朱ちゃん…。
そりゃそうでしょうよ。こんな時の待機程、辛いものも無い。
堪らずオフィスを出ようした矢先、現れたのは東金さん。
局長命令ですよ、と朱ちゃんを引きとめますが、どいて下さいと朱ちゃんの足は止まりません。その姿を黒い笑みで見送る東金さんが黒い!黒過ぎる!!w
あの表情はヤバいですねー。ザ・悪役って感じの下衆顔、ありがとうございます(
そして廊下に出た朱ちゃんを見つける霜月ちゃん。
「私は悪くない。私は悪くない。私は悪くない…」
まるで「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」と連呼する某少年ばりに、震える体を押さえながら呟いてます。
もうね、この子の色相これで濁って無いって言うなら、朱ちゃん以上のメンタル美人ですわよ。
どんどんダメな子になってしまって…。挙句、東金さんに加担しちゃってるんだもの…。
間接的に犯罪に関わったという事実は彼女の色相、犯罪係数にどのくらい影響を与えているのか。
全てが決着付いた後、彼女の色相が濁ったのは東金親子によって強要された故の上昇だったと免責されようものなら、それはそれは強いバッシングの対象になるでしょうな…。知らなかった、そうするしかなかった、では済まされない領域に行ってしまったのは事実でしょうし…。
寧ろこれでギリギリ100以下という事になると、彼女が免罪体質でも無い限り説明付かない気も…(^_^;)
エレベーターの中で、朱ちゃんは霜月ちゃんから東金母が鹿矛囲くんの手術に関わっていた事を聞きます。これは事実なんですが、何故それを此処で?というと、鹿矛囲→シビュラでは無く、鹿矛囲くんの目的は飽くまで東金財団への復讐なんだと陽動させるつもりのようです。悪いのは鹿矛囲くんの方だよ!と言いたいのかな。それ即ち処分という裁きを与えるに妥当という構図でしょうかね。
さて、朱ちゃんがその足で向かったのは禾生局長の元。
禾生局長が鹿矛囲くんを始末する方向に踏み切ったこと、そこに言及します。
霜月ちゃんの陽動とは裏腹に、鹿矛囲くんの目的が東金財団では無い事も、朱ちゃんは見抜いていました。
この辺りで鹿矛囲くんがドミネを向けてシビュラの罪を問う。シビュラがシビュラを裁くという結果的な構図が明確になります。
否定も肯定もしない局長はそんな事態にはさせないと断言し、その為の措置として3係が動いていること、孤立した退避区画上部に爆弾を設置している事を教えました。東金母は退避区画ごと、人質ごと、鹿矛囲くんを葬り去ることで決着を着けようと言うのですよ。どのみち、人質は既に潜在犯となっているだろうから、此処で一斉処理をしても結果的には同じである、と。
体裁を取り繕っていますが、これは個がかなり強調された判断ですよねぇ。
一期のシビュラが、受け入れ難くも曲りなりにシステムとして君臨していると印象付けたあの圧倒的な理論が、すっかり一人の意見によって左右されているように見えてしまって…。
『シビュラシステムに支配される世界は、決してディストピアでは無い』
一期の頃、サイコパス制作サイドのスタッフの共通の認識であったこれは、世界の外である我々視聴者から見ればディストピアに見えても、中に居る一般市民にとってはユートピアに見える。そんな内と外の違和感や齟齬がこの作品の大前提だったんですが…こんなにも一人の意見が大いに反映されてしまっていて良いのかと思っちゃいますね。これで中に住んでいる人間にとってのユートピアになっているのかどうか…。。。
まぁ切り捨て云々は縢くんの件然り、一期の事からある矛盾点というかシビュラの弱点でもあるので、その許容範囲なのかなぁ。
そんな中、朱ちゃんに明かされた葵お祖母ちゃんの状態…。
これは正直、精神にくるものが…。
前回のCパートで、これは何かの前振りで、殴られたのは東金さんだろぉぉぉ!?と自己暗示しましたが、無情にもその淡い期待は砕かれちゃいました。
お祖母ちゃん………。撲殺ですってね。痛かっただろうなぁとか、あーちゃんのお仲間さん?って思ってただけに何故そうなっているのか解らないままだっただろうなぁとか、遣る瀬無さでいっぱいになっちゃいました。
おのれ、東金許すまじ(
「自分を取り戻すための殺意を肯定しろ」
東金さんはそう朱ちゃんに向かって念じます。要するに復讐鬼になって色相を濁らせろ、こーがみさんと同じような状況になれという事でしょうな。
朱ちゃんは一人、オフィスでお祖母ちゃんの死を噛み締めます。また身近な人を助けられなかった。その思いから、自分の中ではっきりとした殺意が次第に大きく、膨れ上がっていくのを感じていきます。
絶叫と高まる息遣いにハァハァ…じゃない!ハラハラしましたよ!←
泣き噎ぶ朱ちゃん。どうしようもない絶望に打ちひしがれ落ちゆく彼女を、しかし引き留めたのは誰であろう、こーがみさんでした。
狡噛「殺すのか?奴を」
静かな問い掛けに、画面の前で絶叫。
「こぉぉぉがみさん!きたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
待ってた!すごく待ってた!
ここぞのタイミングで、抜群の安心感を与えてくれるエア噛さんの登場です。
朱「解りません…でも、そうすべきなのかも…」
狡噛「らしくないな。あんた言ったよな?法が人を守るんじゃない、人が法を守るんだってな。それを信じているから、あんたは俺を止めようとしたんじゃないのか?」
朱「そうでした…あの時は」
狡噛「…まぁ、俺が言えた義理じゃないか…」
朱「シビュラに鹿矛囲は裁けない。でも鹿矛囲を止めなくちゃいけない。もう手段が無いんです」
狡噛「…違うな。もう手段が無いんじゃない。今は手段が無いだけだ。可能性のピースはもう揃っている筈だ。あんたが躊躇っているだけで…」
朱「失敗は許されない。でも…」
狡噛「賭けてみても良いんじゃないか?負けるなよ」
パシッ(優しく頭をはたく音)
なんて展開ですよ!!これにトキめかずして、いつトキめくの!?
煙アロマ焚いてないのにくっきりはっきり召喚されたエア噛さん。朱ちゃん、どんだけこーがみさんの言葉を聞きたかったのか。幻想でも良いから、今にも絶望で頽れそうな足を踏ん張る為の支えが欲しい。そんな願望の表れだったのかなぁ。
それは同時に、彼女の中での支えが、未だ自分の中に居る「時が止まったままのこーがみさん」しかいないって、かなり切ないものがありますね。このやり取りで自分を見失いそうになっている朱ちゃんを見ていると、その偶像さえも崩れてしまったら、その時こそ彼女は彼女で居られるのかと…。
それにしてもこーがみさんの安定感は凄いですね。この人が出てくるだけで、朱ちゃんのみならず多くの人が安心を感じている様子を見ると、更に凄さを感じます。
なにより「賭けてみても良いんじゃないか?」からの件は、本当に声が優しくて。そこだけ抽出してずっとリピートして聞いていたいくらいに、心地が良いです(笑
もはや朱ちゃんの意志に応じて背後に佇むようになってしまった彼。生霊のようにも見えるし、守護霊のようにも見えますね。強力な起爆剤でもあり、強靭な心の守護者なんて、どこまでカッコいいの、こーがみさん。
エア噛さんに踏ん張る力を貰った朱ちゃんは、今は悲しみに立ち止まらずに突き進む事を選択します。
拘束していたクワシマを引きこんで、鹿矛囲くんに交渉を持ちかけます。そしてその動きを察知したシビュラもまた、その間に割り込み。三つ巴の様相を呈してまいりました。
ここで再び「全能者のパラドクス」が砕かれて説明され、鹿矛囲くんの望みであるシビュラがシビュラを裁くという事を成し遂げさせると仄めかします。
シビュラは一度裁かれるべきだとね。シビュラが裁かれる事により、集合体としてのサイコパスが認められる形になります。そうする事で一固体では免罪体質で測れないサイコパスも、集団として裁量する事が可能になる。それは同時に歩くシビュラである鹿矛囲くんにも言える事。
イレギュラーをイレギュラーでは失くす方法ですね。これは解り易い。
しかし当然、シビュラはそれを受け入れないでしょう。自分で自分を裁こうなんて、彼らにとってのメリットが無いですから。拒否するのが定石です。
シビュラは朱ちゃんの監視官権限を奪う事で、身動きを封じようとしますが…。
朱ちゃんはそれがシビュラの聲では無く、一個体である東金美沙子の聲であると突き付けます。禾生局長の中に、東金母が入っている事を見抜いたんですなぁ。
自分達の立場を確固たるものにし続けるには、何を選択すべきなのか全員で考えなさい。朱ちゃんの強い意志が滲み出てます。漢前女子は強い!
それを傍受していた東金さんは、何やら不穏な動き。
3係は局長命令で爆弾を起爆させます、が…。何故か爆発しない。そこに登場する酒々井監視官。また一人、3係は執行官が居なくなってしましました…。もう3係が噛ませ過ぎて悲しい…。
酒々井監視官は使用された爆薬が一話の犯人の押収品である事を指摘。それが使用されるだろう事を見越して鹿矛囲サイドで操作出来る用細工していたのよ、と言います。
何やらヤバそうな薬を投与して、陶酔した様子の酒々井さん…。薬物かとも思えますが、これが色相をクリアにする薬剤ってやつでしょうかね。
鹿矛囲くんと朱ちゃんの間で交渉が成立した為か、退避区画の排水が開始され、安全が確保された電車内から人質となっていた人達が解放されます。
一方朱ちゃんは鹿矛囲くんと合流するポイントへ。その途中待っていたのは…東金さんでした。
「俺も同行させて下さい」と志願する東金さんに、朱ちゃんは不信感を募らせます。
東金母と鹿矛囲くんの関係に触れたうえで、母親の齎した事の責任から自分の手で鹿矛囲くんを始末する理由がある。例え自分の手を汚しても。
しかし朱ちゃんは「殺すつもりなのか」と問います。
そうして東金さんは答える。
「狡噛執行官ならそうした筈だ」と。
これは東金さんのミスですよね。ここにきて疑いを感じ取って焦ったのか、それとも余裕からか、こーがみさんの名前を出すタイミングを明らかに間違えましたね。
こーがみさんの名前を出してまで、こうしただろうと紐付けした事で、朱ちゃんは却って冷静になったように思えます。
それより前に、彼女は自分の中のこーがみさんに会ってますから、その差、違和感をより明確に感じたでしょうし、疑いを確かなものに変えられた。
何より嘗て、復讐に走る彼を止めようとしたのは他でもなく朱ちゃん自身です。より冷静にならない訳はない。
お芝居はもう止めませんか。
朱ちゃんは東金さんの表層の演技を指摘します。
どの段階で演技だったと解っていたのか。ちょっと推し量れないんですけど、或いは最初から解っていたけどわざわざ指摘する事でもないからと、見て見ぬふりをしていたのかもしれないですね。そもそも彼女は脳内で何度もこーがみさんに会っている訳ですから、仕草を真似て目の前に居られても、一時的に重ね合わせる事はあっても、最終的に彼女が東金さんをこーがみさんと思い彼の思惑に嵌まってしまう事は無かったのかもしれません。
此処から朱ちゃんの推理パート。東金さんの間に明確な線引きが成されます。
いつ、そんな詳細な情報を仕入れたの、と思ったら霜月ちゃんの報告書見ていたんですね。
まぁギノさんの報告書をこっそりこーがみさんが見れたくらいだから、この辺りは介入してこっそり閲覧とか出来そうですな。
それにしても詐称された東金さんの登録内容。やはり28歳になってました。
28歳が実は41歳だったとか…。どんなカラクリ使ったらそんな鯖読みを堂々と出来るのwとか思っちゃいました(笑
洗い浚い調べ上げた朱ちゃん、有能だ。
黒く染めたかったのねって、ここまでバレてたwww
「彼女は君程度には染められないよ」
そうしてやってきたのは鹿矛囲くん。その姿を見て、東金さんは所持していたナイフを出します。そして鹿矛囲くんもドミネーターを構える。
計測された数値は暴露されたデータと同じ769。言わずとも最高数値ですよ。
ドミネーターがエリミネーターに変形して、東金さんに照準が定められます。
ドミネーター相手にナイフとは、これ如何に。と思えますけど、恐らくシビュラが、東金母が自分を処分する筈がないという驕りと、鹿矛囲くんを始末するには物理しかないという理由からってのがありそう。しかし圧倒的にリーチが短いナイフ…。ドミネーターが作動しないという確証は正直無い。シビュラは総合的な利害で、切り捨てる時には切り捨てちゃいますからね…。
「散れ、漆黒…」
撃ち放たれたドミネーターは果たして東金さんへ向いたものなのか否か。
次回最終話ですが、冒頭で東金さん死んじゃってたら、小物臭がキツ過ぎるので悪あがきにもう一悶着引き起こしてくれることを期待します。
なんだろうね。朱ちゃんの強さに脱帽する一方で、身近な人の死をちゃんと受け止める暇も無く進まなくちゃいけない。それは彼女の強さに映るが、同時に危うさにも映る。
全部の事が終わって一段落したら、朱ちゃん思いっきり泣くんだよ?その時は泣いて良いんだからね?と声を掛けてあげたいような。そんな切ない展開です。
さぁ!来週はもっと長く感想を書く事になるだろう!また一週間、色々想像を巡らしながら待ちたいと思います。
最後に一言。
こーがみさん、エア噛さんでもべらぼーにカッコイイです。ほんと、惚れるぅぅぅ。