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観測者の足跡

観測者ハ足跡ヲ残シタ。

PSYCHO-PASS2 第9話

PSYCHO-PASS2 第9話「全能者のパラドクス」
視聴したのでその感想と纏めを。

いやはや、今回もこの上なくエグい内容でした。
前回独走して、遂に知ってはいけないことを知ってしまった霜月ちゃん。禾生局長(東金母)の判断により、シビュラシステムの秘密を聞かされることとなってしましたが…。
冒頭から衝撃度が凄かったです。
なんと、拍手。霜月ちゃん、免罪体質だの脳の集合体だの聞いて、「素晴らしい!」と。
これは理想的なシステムの形だと言ってますが、正直顔が、目が、逝っちゃってます。



あの感じからして、心からの賛同というより、聞いた内容があまりにも衝撃的過ぎて、そして東金親子の威圧から自分の命の危険を本能的に感じ取って、無理やり深く考えず上辺で「素晴らしい」と言っているように感じました。要は演技をしたんじゃないか、と。
打算的に演技をしたのか。はたまた、服従から無意識にとった行動が結果演技になったのか。その辺りは解りませんけど…。でも自分達の信じた絶対的なシステムが、犯罪者の脳も含まれるものの集合体と聞いて、「へぇ、それはそれでゾっとしない話だね」と言えるのは、正直槙島くらいなものかと…(苦笑
彼の思考だからこそ冷静に分析できる訳で、善良な一般市民代表である何も知らない彼女に同等の許容力があるとはちょっと考えられないですよねー…。

霜月ちゃんの反応を見て、これは確かに市民の理想的な反応だわと言う禾生局長は、東金さんに「貴方と違って」とどこか軽蔑するような視線を向けました。
東金さんは、シビュラに取りこまれる前の東金母によって、人工的に作り出された「免罪体質者」だったようです。
…ん?人工的な免罪体質者? 東金さんが?
免罪体質者というと、サイコパスの数値と犯罪心理が一致しない為、どんな凶悪犯であってもドミネーターで裁けない体質の人を指していた筈。それは鹿矛囲くんが完全体として既に種明かしをした上で存在している訳ですが。
でも東金さんって、犯罪係数ぶっちなんですよね?濁らせるの得意なんですよね?
免罪体質とは真逆にいると思っていたんですが…。その彼が免罪体質者?
幼少の頃、犬を虐殺してそれでもサイコパスがクリアに保たれていることから、この頃はその通りの存在だったと思えますが…。どこかでその前提にイレギュラーが発生し、逆に犯罪係数が爆発的に上昇する体質になってしまった…?という事でしょうか。
そうなると彼は、東金母の施行した実験の失敗作…???
そう考えると、局長の「貴方と違って」に「出来そこないの」という雰囲気が漂っているのも納得できます。それに対して、一瞬不満を露わにする東金さん。てっきり仲良し親子と思っていたんですが…どうやら雲行きが怪しい。これは裏切りフラグとなるのでしょうかね…。

それにしてもわんわんおを惨殺する件を入れるとは…。容赦ないし、犬好きな方からすると厳しい評価になっちゃいそうすな、これ…。


さて、朱ちゃんは雑賀先生の元で、ある理論を問います。
「人を裁く完全な存在が居たとして、その存在を裁く事は可能ですか?」
サブタイ回収ですが、全能者のパラドクス。
全能者は自分でも持ち上げられない重い石を創造できるか。もし持ち上げられない石を作り出せたら、石が出来た時点で「全能者」では無くなる。そして石が作り出せなければ、その時点で全能者では無い。詰まり、どっちを証明しても矛盾によって「全能者」というカテゴリーからは逸脱し、破綻してしまう。
これを朱ちゃんの問いに言いかえると、あらゆるものに裁きを下す存在は、同時に自分自身もその例外にあらず裁けるのか、という事。
例えば、シビュラシステムにドミネーターを向けた場合、シビュラは自分自身を裁けるのか。裁ければ「完全な存在」と証明出来るがシビュラは完全である筈の自らを裁く事になり全能さは失われる。裁けなければ同等の存在(鹿矛囲くんのような免罪体質者)を裁く事が出来ないとなり、やはり全能さは失われる。
これを解消するには、「全能者」は同じ瞬間に全能者である必要はないという。
自分でも持ち上げられない石を作りだした後、その石を軽くする。そうする事で「作り出す」という事実と「持ち上げる」という事実、二つの事柄を達成し「全能者」たる体裁は保たれる。
これを現行、シビュラはイレギュラーたる免罪体質者を自身の一部として取りこむ事で保っていると解釈できそう。
 
シビュラがシビュラを裁けるか否かは、言いかえればシビュラが免罪体質者、或いは鹿矛囲くんを裁けるのかという図式にも当てはめる事が出来る。
鹿矛囲くんは死人を繋ぎ合わせて作りだされた免罪体質者であり、脳も繋ぎ合わせていることを考えると構造的に疑似的な歩くシビュラシステムとも言える。その彼は、他人の色相をクリアにすることで、持ち上げられない重い石を作りだすという事を自由に行えているともいえる。その上での問い掛け。「シビュラ」は”シビュラ”を裁けるのか否か。
 
人工的に作られた免罪体質者であり、歩く疑似的シビュラシステムである鹿矛囲くんを裁いてしまうと、同じ免罪体質者で構成されていて、彼と同じようなシステム構造である自分自身もシビュラは裁かないといけなくなる。
 槙島然り、免罪体質者を裁けない理由は、これも一因としてあったのかなぁ(故に取りこむという結果しかない)

そうなると最終的に行き着く先は「何故シビュラは鹿矛囲くんを取りこまないのか」という事。
前提がパラドクスでどうにもならないなら、その存在を取りこんで融合する事で今までその矛盾を失くしてきた訳で。けど数話前で、鹿矛囲くんを殺処分しろという意志を、シビュラは朱ちゃんにほのめかしていましたね。今度はここに矛盾が出来てしまう。朱ちゃんもまた、それは貴方達の考え方にしてはオカシいと指摘していましたが…。
取りこまない理由に尽いて、確かシビュラは言及を避けました。「なかなか面白い事を考えるね」と濁した。理由は局長の独り語りでも語られていなかったと思います。

此処から憶測で言いますが。思うに、シビュラは鹿矛囲くんを取りこまないんじゃなくて”取りこめない”のでは?と思うのです。
彼の肉体や脳は槙島を含めたこれまでの免罪体質者と違って、死人の体をかき集めたもの。
免罪体質でもサイマティックスキャンが認識していた槙島達の場合と違い、認識自体されない。機械では彼の生体力場そのものを捉える事ができないんですよね。
もしシビュラのシステム構造的に、鹿矛囲くんの脳みそはシステムに組み込もうとしても組み込めない、上手く同期する事のできないものだとしたら?
これまでの免罪体質者が生きたまま脳を抜き取られて一部に組み込まれたのに対し、認識外である死者の脳みそは例として上がっていなかったかと思います…。

そう仮定すると、シビュラが彼に殺処分をほのめかした理由も納得できるかと。
・シビュラは構造的に鹿矛囲を取りこめない。
・野放しにするとシビュラが裁けない存在がいる事を認めてしまう事に繋がる。
・裁けば、今度は免罪体質者という前提そのものが崩壊し、自分自身の存在矛盾に繋がる。

まぁ飽くまで個人的な憶測であって、考え過ぎかもしれませんけどね。
でもシビュラ並の能力を持つ鹿矛囲くんを、裁かずに尚且つ免罪体質者の前提を守るなら、これまでと同様取りこんじまえば良いのに…と思わなくもないのですよ。でもそうしない理由って何なんでしょうかね。今の段階だと答えは出そうにありません。
真相は如何に!ですかね(^_^;)
 
  
 
そんな折捕縛監禁していた、鹿矛囲くんを作ったという執刀医。彼が消されてしまいます。東金親子の手によって、で間違いないようですが。監視カメラの映像も上書きされているだの、ドミネーターの使用履歴が話に上がらない(記録に残っていない?)と、公安内部に裏切り者が潜んでいる事を匂わせる展開。腹の中で鹿矛囲とは別の敵が蠢いている感じがひしひし伝わってきますね。

その件に関わったであろう東金さんは、嫌悪を滲ませる霜月ちゃんに朱ちゃんの祖母、葵お祖母ちゃんの所在を調べるよう命じます。
でも何でわざわざ霜月ちゃんに調べさせたんでしょう。葵お祖母ちゃんの保護は公安局によって管理されていた筈。調べるまでも無く、シビュラ側は知っているのでは?なのにわざわざ…。
これにも何か意図がありそうです。

一方、国交省のお役人さん方が、どうもオカシな会合を開いているという情報が飛び込んできます。その内の一人、クワシマという人間は嘗て鹿矛囲くんを生み出す原因となった飛行機事故を直前で免れた人だったとの事。

そのクワシマはまさしくその会合の真っ最中。それも鹿矛囲くんも同席して。
会合に居合わせた役人たちは、揃ってシビュラシステムに取って変わる陰謀を画策していた様子。豪語する役人達を見て、鹿矛囲くんは嫌悪感を滲ませます。
「早く始めよう。見るに堪えない」と彼が言うと、使用人が手を叩きメインディッシュの蓋を開けるよう促します。そうして開けた蓋の中から出来たのは…切断された人体の一部。それを皮切りに掛けていたホロを解除。食べていた肉は人肉に臓器と、なんとも言えないものばかり…。

この会合に参加していた役人達は、全員地獄の季節を黙認し、犠牲者を貪り地位を得て、そして自らの色相を保つために人の命を弄んだ。故に鹿矛囲くんの復讐対象である、と。そういう事のよう。
室内に展示してあった動物、これらもまたホロで偽装し展示された死体だった。彼らは密入国者であり、消えたとしても不審にはならない者たちばかり。役人達は、彼らを玩具のように扱う事で色相をクリアにしていた、という。そんなん、簡単にサイマティックスキャンに引っかかるだろと思えそうだけど、きちんとしたサイコパスを測定できるのは医療機関かドミネーターを向けられた場合だけ。簡易的な物では、はっきりとした数値は測定できない。そして思い出されるのは、一期3話で殺人を犯した者が「憂さを晴らせた」という認識から、サイコパスが好転したという事実。
とてもまともとは言い難いものの、そういう穴をかいくぐるようなケースで犯罪に手を染める者もいるようだ。そして鹿矛囲くんに助けを求めている事を思えば、きちんとした測定前に色相をクリアにしてもらっていたとも考えられる。その時は役人達を利用できると思っていたから手を貸していたのだろうか…?


冷静に同行に応じるよう要請する朱ちゃん。クワシマはすんなりそれに応じたものの、これを見てくれと箱を一つ、彼女に差し出しました。…もうこの時点で嫌な予感がバシバシきてます。

箱を開けた朱ちゃんが見た物、それはピアスの付いた葵お祖母ちゃんの片耳があああああ!!!
瞬時に取り乱し、掴みかかる朱ちゃん。それを懸命に止めるギノさん。ギノさんから受け取った箱から身元を割り出す弥生ちゃん。この連携に旧1係の呼吸の良さを感じた←

クワシマは葵お祖母ちゃんの耳を削いで持っていた事、そしてそれを朱ちゃんに見せた事について、少しの間大人しくしていてほしいと言います。しかし雑賀先生は、鹿矛囲は朱ちゃんを連れて来てほしいのではないのか?と返す。供述が繋がらない矛盾点。
そうしてクワシマは、彼は地下鉄にいる、と鹿矛囲くんの所在を示します。



企てているのは地下鉄テロか?とも思えますが、彼が構えているのはドミネーター。
もう自身をホロで偽装する事も無く、決着を付ける覚悟を匂わせます。
 冒頭で述べた鹿矛囲くんがシビュラに問いかける「ドミネーターでシビュラ自身を裁けるのか否か」という事を踏まえると、彼の持つドミネーターの銃口の先はシビュラ。という事でしょうか。
 
 
そして珍しくCパート。
東金さんが車のトランクを開けると、そこにいたのは不思議そうな顔をしている葵お祖母ちゃん!?


葵「あーちゃんのお仲間さんかい?」
東金「…ええ」


いやぁぁ!お祖母ちゃぁぁん!
めっちゃ鈍器で殴られるような音してましたけど…。あれはお祖母ちゃんが殴られたんじゃないよね?!東金さんの方だよね?!!
そんな所で終わってしまいました…。
なんて所で終わるんだ、気になるじゃないか!


しかしながら、何故東金さんが葵お祖母ちゃんの身柄を確保してたのでしょう?
霜月ちゃんに探させた結果?
では耳をクワシマに預けていた理由は?
何故、東金さんが鹿矛囲サイドの動向に関わっているのか…。

考えられる可能性として、単純に鹿矛囲サイドがお祖母ちゃんの耳を削ぎ落した後で東金さんが拉致した。或いは、クワシマ自身鹿矛囲くんと東金さん、両方に接点があった。東金さん、実は単独で鹿矛囲くんと手を組んでいた(同じ免罪体質者同士)とか。色々想像できそうですね。

あと残り2話ですかー。これでこのお話に決着着くわけですが、どうなるのでしょう。納得のいく終わり方希望!!(モヤモヤはしたくないですねー)



最後に少しだけ気付いた疑問を残しておきます。
そもそもの話ですけど、シビュラが朱ちゃんを濁したうえで始末したい理由って語られていましたっけ?鹿矛囲くんを裁くに裁けない理由は今回説明されたけど、これは朱ちゃんを始末したい理由にはなってません。
一期終わりでシビュラは朱ちゃんを観察対象と言い、彼女を懐柔する事が出来れば市民も懐柔できると考えていると言っていました。それなのに…始末したら意味が無いような…。
二期になって急に人間臭くなってきているように感じる事にも違和感が。
シビュラの考えというより、もう東金母の一存でという方がしっくりきている自分。

今のシビュラってシビュラの総意を元に決断しているんでしょうか…。調和のとれた思考の確立というより、個人の欲望や思惑が反映された決断に見えるのは私だけでしょうかね。

とある場所で、「シビュラは東金母を切り離して排除したがっているのでは?」という考察を見かけて、その可能性も考えてしまいました。
東金母の思うようにやらせる事で、結果排除されるべき存在として始末しようとしている。
確か、禾生局長の担当になった脳は、局長の体が破壊されるとその脳の持ち主も死亡するんでしたっけね。手段的には可能かと。
しかし、そうなると今回解った「全能者のパラドクス」に置き換えた場合、同じ免罪体質者である東金母を裁いたとなると存在矛盾が発生してしまう…。ドミネーターでは無い方法で、という前提がない限り、それは出来そうにないな…という所に行き着いてしまい、結局何故なのか?は解らず仕舞い。シビュラの掌返しの目的も、この先判明してほしい所です。

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