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観測者の足跡

観測者ハ足跡ヲ残シタ。

K~デイズ オブ ブルー~ 其の壱

ここ一週間、娘共々夏風邪からくる腸炎で、うーうー言いながら地獄の日々を過ごした水緒です。ご無沙汰してます。
冬もですが夏の風邪は特に厄介ですね。暑い上に熱いなんて…。大人しく布団で寝るのも苦行ですよ。汗だくですし。
今、風邪流行っているようなので、皆さんもお気を付けを。。。



 
さて、話題が少々逸れましたが、ダウンしている間にアニメ「K」のスピンオフ的作品、デイズオブブルーが密林から届き、病気から解放された頃合いに読破したのでその感想を綴っておこうと思います。

実は注文したの、ひと月近く前なんですよね。2~4週間で届きますーって言ってましたが、まさか本当に4週間掛けてくれるとは(滝汗
どんだけ商品の確保が出来なかったのやら…。
確保出来ましたので入金して下さいの連絡が来た時、「やっとか!」と思いましたよ。お熱の出た頭で!(

このデイズオブブルーは、アニメ「K」のセプター4にスポットを当てたシリーズだそうで、吠舞羅にスポットを当てたメモリーオブレッドと対になる感じでしょうかね。
あちらとリンクしているお話も収録されているそうなので、両方読んでも面白いかもしれません。
当方はセプ4好きなので、こちら押しで行かせて頂きます(笑
表紙は今の季節見目に涼しいブルー!
ちょっとアンニュイな伏見くんが目印です。

以下、続きを読むから感想です。毎度の事ながらネタバレ含みますから、楽しみにしてる方やこれから読もうとしてる方は注意ですよ。




第一話「東京法務局戸籍課第四分室寮棟」
デイズオブブルー、一番最初を彩るお話はセプター4トップ3と、その部下に当たる特務隊の隊員達を主軸にしたお話。タイトル通り、セプ4の寮が舞台ですよ。
寮はアニメに一切出てきて無かったですが、特務隊の面々は皆、二人で一室を割り当てられた寮生活なんですねー。

それにしても特務隊の面々は個性的!
アニメでは抜刀シーンや緊迫したセプ4のシーンで度々登場していた8人ですが、意外と8人それぞれに個性や特色があってキャラクターが魅力的に立ってます。アニメではなかなか伝わってこなかった個性が割と丁寧に表現されているので、お気に入りのキャラクターを見つけると愛着も湧いてきます。
女性のように整った顔立ちなのにちょっとオタク気質な榎本、誰にでもフレンドリーで天才肌なアンディ、大人しそうで実は部屋の趣味が作者曰く「ちょっと変」と言われてしまっている五島。真面目なのに何処か抜けちゃってる秋山、特務隊で唯一安定してる弁財、特務隊のツッコみ役布施、人生いろいろな加茂、熱血漢で真っ直ぐな日高。

中でも私は日高にチューモク!アニメでは小野Dが兼ね役でしたね~。
この一話で特務隊の親睦会を提案するのも彼なんですが、特に日高と伏見のやり取りが興味深かったです。
残業を自分でやった方が早いとたった一人で片づける伏見に、仲間でしょ!と苛立ちを露わにしておりました。「仲間」という言葉に嫌悪感を抱き続けている伏見にとっては、この言葉は沸点ワードですね。彼の中では仲間=慣れ合いの図式が成り立っちゃってますから。そしてそれを何より毛嫌いしてますし。ですが、此処で終わらないのが日高の良い所!ちゃんと伏見に説くんですよね。仲間だから仕事は分担するべきだし、自分のやるべき事をそれぞれが果たしてこそ初めて機能する組織だからこそ、一人で何でも抱え込むのは良くない事。ナンバー3である以上、どんなに仕事の出来る有能な人間でも、部下にちゃんと役割を与え、仕事を割り振るのも仕事だと。
伏見はそれを聞いて驚いたような表情で言葉を失います。
彼の中の仲間=慣れ合いの図式と、日高の言う仲間が同じでは無かった事に驚いていたんでしょうね。一言に「仲間」と言っても、色んな形がある。
手伝いますから、と残業の手伝いを買って出た日高に、伏見は一言だけ「どうも…」と礼を言います。

礼ですよ!礼!!
あの伏見くんが!!お礼の言葉を口にするなんて!!!(ビシャァァァァ!!

雷に打たれた私は、これ見て悲鳴上げました(心の中で

結局日高の提案した親睦会に伏見が来る事はありませんでしたけど、何気にこの二人良い関係性を築けるんじゃないかなって、何だか見ていてほっこりしました。
八田とはまた少し方向性の違う熱血タイプというか、やはり年齢が伏見より上なだけに、組織という物の形態を良く解ってます。
伏見はどんなに有能であってもまだ19歳ですからね。社会性の経験不足という面では、日高の真っ直ぐさや言葉は、彼の中で歪んでガチガチに固まった概念を解してくれる一つになるかもしれんな…と、ここまで勝手に考えを巡らせました(笑
年下の上司と年上の部下という構図も、またイイッ。
日高の「伏見さん」呼び、結構好きです←

残業明けに、寝落ちした日高に宛てて缶コーヒーを贈って帰っている辺り、伏見もなかなかやります(笑



第二話「LONELY BABY」
冒頭、秋山と弁財が赤ちゃんを抱っこした宗像室長を目撃する衝撃の場面からお話が始まります。
室長の隠し子疑惑が特務隊の中に流れる中、どうやら屯所の前に捨てられたストレインの赤ちゃんだったよう。その世話に四苦八苦、翻弄される特務隊、伏見、淡島副長がギャグを絡めつつ描かれています。
ていうか、加茂はバツイチにして一児のパパだったんですね…。あの様子を見ていると本当にいろいろあった様子…(汗

流れ的にもギャグ寄りだったので、このまま終わるのかと思いきや、シリアス要素も含まれている二話。
「子供を愛していない親なんていない」と楽天的に言う日高を余所に、努めて平静の伏見の横顔。家族という、人間が一番最初に触れる社会に見捨てられたとしても、また別の社会がその人間を受け入れる、といった概念。「捨てられた者は、その相手を捨て返す権利がある」という宗像室長の言葉に、Kの小説ロスモアの匂わせてます。こちらを読んだ方は、「おお!」と思わせてくれますよ。

個人的に、伏見と赤ちゃんのツーショットは興味深かった!
かな~り貴重な、伏見くんの”あやし”が見られます。
接し方に戸惑ったり、力加減が解らなかったり、伸ばした小さな手に自らの指を握らせてみたり。
伏見くんが赤ちゃんと触れ合っている…だと!?
と一人興奮したのは言うでもないですね(殴



第三話「淡島の休日」
いつも忙しいセプ4。中でも多忙な淡島副長の休日の一日が描かれています。
此処で登場するのが庶務課の事務員吉野さん。
…じょ、女性だ!!
と思わずツッコみを入れましたが、よく考えれば何も不思議な事じゃないですよね。
男ばかりのセプ4で淡島さんが紅一点に見えていただけで、他に女性隊員がいない訳ないですね(苦笑

庶務課で世話をしていた黒猫が逃走し、その捜索を淡島さんに依頼した事で女子二人がセプ4の寮内を走り回ります。
毒蛇を仕留めーの、Gを瞬殺しーのと、漢前女子全開な淡島さんですけど、蜘蛛は苦手なんですね(笑
悲鳴を上げて腰を抜かす辺り、女子の一面を垣間見れます。

どうでも良いですが、榎本の部屋に押し掛けている日高の「ゴッティの私物が怖いから一人じゃ部屋にいられない」発言に、ゴッティの趣味がすげぇ怖い事だけは妙に伝わってきました(一話でも言ってます、これ)

騒動を終えて、淡島さんと吉野さんの女子二人は吠舞羅のナンバー2、出雲が経営するバーHOMURAを訪れます。勿論お客さんとして。
安定の「淡島さんと餡子」の件を見てこれで終わりだと思っていたら…。
吉野さんが注文したのは柑橘系のカクテルに、こんもりと盛られたマヨネーズ!!!
お前もかぁぁぁぁ!!!と叫びましたとさ(笑

げんなりしている出雲の気持ちがよく解る。ていうか、セプ4にまともな味覚の女性はいないのかっっ(



第四話「痕」
こちらは伏見が主軸のお話です。
伏見、痕、と聞いて連想するのは当然前に居た組織吠舞羅で授かった力の証、でしょうね。
彼は吠舞羅を抜ける前、八田の目の前で証を自ら焼きつぶして見せた訳ですが、その残った痕は同時に彼の心の傷痕のようにも思えます。
楽しそうに交流している室長と特務隊のメンバーを尻目に、秋山に王の元にいるクランズマンとしての気持ちを問うシーンがありますが、「室長は絶対に正しくて、室長のためなら命も惜しくないってか」と訊き、同時にそれを誇りに思っているタイプなのか、とも訊いています。
彼の中にあるのは、やはり吠舞羅時代に強烈に抱いていた違和感。
八田が尊に向けていた絶対的忠誠心、全幅の信頼なのでしょう。
秋山はその問いに、絶対なんて無いと言いつつも室長に付いて行くと決めた自分の判断に恥じない生き方をしようとしています。
これもまた、一話の日高の時同様、伏見が理解出来なかった八田の寄せる崇拝とは少し異なる、トップへの信頼と言えます。

伏見が思い出すのは入隊したくらいの頃、二年前。
吠舞羅からの引き抜きで、若くて、情報課の一員でありながら室長の私兵のような存在だった伏見は、自分の意志で吠舞羅を出てセプ4の門戸を叩いたにも関わらず、随所随所で吠舞羅、八田の面影を引きずっています。
温い仲間ごっことは違う。自分の能力を最大限生かし、役割を全うし、どこか法則的に流れていく組織に息のしやすさを感じながらも、心の中で完全に割りきれていない未熟さを垣間見る事が出来ます。その一端が、ストレイン捕縛の任務中に背中を預けられる存在、八田が居た事を無意識に思い出している場面では無いでしょうか。

「慣れるさ。すぐに慣れる。これは喪失じゃない、始まりだ」

これは強がりとも、伏見の本音とも取れますが、どこか自分に言い聞かせている節も窺えます。
これで良い、この道が自分の歩くべき道と言いながら、心の何処かで本当にこれで良かったのかと立ち止まりそうになる。伏見はその衝動を必死で押さえこんでいるように見える時があるんですよね。そんな伏見にとって宗像室長の元にいる事は、自分の扱い方をよく知っている人の元にいる事で、自分に足りない決定的な”何か”が何なのか、知ることが出来るんじゃないかという事を、実は無意識に求め、感じているからというのもあるのかもしれません。個人的見解ですけどね(苦笑
両方の王の元にいる事は伏見猿比古という人間にとって必要な経験だった、と後々思いたい所です。



第五話「白あん煮込み豆腐パニック(前編)」
こちらは吠舞羅サイドである、メモリーオブレッドの後続版となるお話の前編です。
白あん煮込み豆腐という何とも奇妙な名前の馬(ストレイン)を、迎えに来たと同じくストレインの王子(っぽいけど、かなり不審者です)がセプ4の屯所にやってきた事で事件に発展していきます。
ちょうどその時、とある理由で白あん(以下略)の世話を代わる羽目になった伏見は、白あんの様子を見に来た吠舞羅の十束とアンナの二人と鉢合わせ、「フリーダム過ぎるのも大概にしとけよっ!」と説教もほどほどに、現れた王子が手懐けた白あんと共に同じストレイン同士であるアンナを追い掛け始めるので、伏見は十束と共にアンナの保護を余儀なくされます。(吠舞羅はセプ4にとって監視対象ですからね。事件に巻き込まれる事を野放しにはできないようです)

前編なので物語は途中までとなっていますが、此処でも伏見と吠舞羅の図式が付いて回ります。
当然二人とは顔見知りな訳ですけど、十束は伏見の本質を見抜く重要なキャラですよね。
のらりくらりとして居ながらも、何でもないような言葉端で伏見の心の奥深くを突く。彼の迷いや戸惑いを解決していく、とても重要なヒントを教えてくれているのだけど、本人はそれを素直に理解しない。ロスモアの時も思いましたけど、伏見くん!十束さんはとても大事な事を教えてくれてるよ!

八田は元気だよって伝えてるのも、ウザがられてはいますが、十束から見て伏見の心の中に間違いなく八田が引っかかり続けているのを見抜いての事だったのでしょうな。
それはアンナにも言える事だと思います。彼女も、間違いなく伏見の心を見抜いてるでしょうから。

さて、騒動がどう収束するか、後編に続く!(笑




長々と綴りましたが、収録話数全5話。全て面白かったです。
アニメ「K」だけでは明かされていなかったセプター4の知られざる内面。
ギャグあり、シリアスあり、ほっこりあり、と一粒で色んな味が楽しめました!
ポジション的に、基本お話の引き締め役になる伏見くんが、終始沢山出てくれたのも嬉しかったです。
彼の暗部の描かれ方も、ロスモア読者としては通じる部分があって、また新しく考えさせられました。
まさにセプ4好きにには堪らない一冊…!

8月には続編となる第二巻の発売が決定してますね。
またひと月待たされては堪らない…と、学習した水緒は既に密林で予約済みです(キリッ
セプ4好きーな方、伏見くん好きーな方は是非一度、お手にとってみて下さいw



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