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観測者の足跡

観測者ハ足跡ヲ残シタ。

ダイバージェンス1%の向こう側









 人間は、根源的に時間的存在である。







2010年夏に放送されたSF系アニメ作品、STEINS;GATE。
そのDVDBOXを遅ればせながらゲット致しました。
もう!この作品!だいっっっ好きなんですよ!!
主人公のオカリンこと岡部倫太郎を中心に、タイムトラベル、タイムリープ、過去改変と。SF物としては定番の題材だったりしますが、その内容は秀逸の一言。正直、これまで見てきた、私の中のSF作品のイメージを悉く崩されました。

作品前半こそ2ch用語が飛び交い、なかなかイタイやり取りも交えつつ、ギャグ一直線で。ただ過去にメールを送る実験を積み重ねていくタイムトラベル物かなーと思ったんですが、9話以降で180度印象が変わります。恐らく「こんな感じかなー」といった決めつけが、完膚なきまでにひっくり返されます。前半から申し訳程度に滑り込ませていた、ほんの僅かなシリアス要素はこの為にあったのか!と思わせてくれます。

世界線移動、ダイバージェンス1%の壁、収束する結果。
世界によって、時間によって決められた大切な人の死を回避する為に、その先にある自由を失った未来を回避する為に、オカリンは何度も何度も世界線漂流を経ていきます。その過程は回を追うごとに重く、辛く、厳しく。オカリンにも、見ているこちらにも圧し掛かってきます。

誰しもが一度は思う「この過去をやり直せたら」という願望を、実際行えたとして。その結末が悲劇しか生まないことを知り、もう一度元に戻すために払う犠牲の大きさは計りしれません。
時にその犠牲はその世界線での命であり、時にその犠牲はその世界線での決して埋める事の出来ない人の想いだったり。
それでも生きているから、前に進んでいるから、足掻く。
好奇心が齎した代償なのかもしれないけれど、孤独な観測者とそれに繋がる人々の想いに心が揺れます。
しかししかし、この作品の凄い所は、そこからの更なるどんでん返しでしょうな。
物語23話、24話はこの作品の真髄だと思います。
これまでの鬱アニメと言われそうな辛い展開から、一気に膨れ上がる希望へのシフトチェンジは、見ていて熱くなります!この辺りで鳥肌が立ったファンも多かったとか何とか。

全てを見終わった時、一話目に戻ってきて、ループしたような感覚になって、詰まり最初から伏線は沢山張り巡らされていて、それをそれとして見ていなかった(敢えて見せない演出をしていた)と思うと、これまた鳥肌が立ちました。なんてよく出来た、出来過ぎている脚本だろうか、と。
ループ系作品って結構ありますよね。なく頃にシリーズや、カゲプロもその一種かと。
延々繰り返すという一点においては、こういった作品は昔から多く存在していますが、シュタゲの場合、何か見えない力によって強制的にループさせられているという非科学的な物ではなく、「時間」という現実的な物によって与えられる結果から、自らの意志によって意図的に引き起こしているループなんですよね。
同じ、「時間を何度も繰り返す」というテーマですが、24話を一周して初めて大きな形が見える作品に出会ったのはこれが初めてです。逆に言えば、全話を通して見る事に意味があると言えるかもしれません。
もし、冒頭を初見している自分に会えるなら、「お前、その辺りも全部伏線だからな」とニヤけながら教えてやりたいくらいです(笑

世界観も素晴らしく、秋葉原を舞台に、SERNやジョンタイター、IBN5100レトロPCなど。実は現実に関わりのある名称や地名が多く出てきます。
実際のCERNはスイスのジュネーブにありますし、機関としての役割も同じです。ジョンタイターは2000年にネット上に現れた自称タイムトラベラーで、IBN5100はIBM5100という名称のレトロPCが実在しています。
秋葉原の未来ガジェット研究所のある場所や、牛丼屋さんぽ、世界のラジオ会館と。作中に登場する多くの場所が、実際その場所にあるんですよねぇ。まさに聖地巡礼が出来るというわけです。
名称だけでなく、タイムトラベルの理論(カーブラックホール 云々の説)も仮説としては存在しているので、可能性だけで言えば100%のフィクションとは言い切れないリアリティもきちんと備えています。この辺りの設定のしっかりさが、SF好きな方々を虜にした要因かもしれませんね。勿論、アニメ好きな方も、このストーリーの面白さで最初と最後でシュタゲに対する評価が変わると思われます。

いつかシュタゲ本編であるゲームの方もプレイしてみたいと思っているワタクシです。
今は、まだ購入してもやる時間が取れそうにないので、様子見してますが、シュタゲ好きな方が口をそろえて言うのは「アニメ面白かったなら是非原作をプレイしてみて!」
もっと細かく、もっと丁寧に、シュタゲの世界に入り込めるそうな。

映画化もされていますが、私はアニメ本編だけでも十分完結出来てるかなと思ってます。(映画のエピソードは完全に好みと受け取り方の問題になりそうですし)
後々考察させる為に、結末を曖昧にして視聴者に任せる手法が割と多い昨今ですけど、シュタゲはきちんと結末が描かれています。すっきり終わるように出来ていますし、キャラ同士の関係性に尽いても、あやふやにはせずある程度結果を出してくれています。結果を出した上で視聴者に自由に先を想像させたり、或いは最終話に至るまでの流れの中で「ああだったんじゃないか」とか「こうだったからかもしれない」と考察ポイントを用意しているので、見終わってこの先どうなるの!?とモヤモヤしたくない人も、自分なりに考察したい人も、互いがそれぞれのポイントで楽しめるような構成に纏まっていると思いました。
そういう部分に於いても、見ていて嫌味の無い。形の整った作品だと思います。

初見時に思ったのは、「まるで一本の映画を見終わったようだ。」でした。
何気ない場面であっても、深刻な場面であっても、感動的な場面であっても。全ては繋がっていて、全てが最終話に向かっていて。24話全てを見終わって初めて全体像が、この作品が本当に描きたかった事が見えたような気がしました。
同じ所で何度泣いた事か。声優さんの本気の演技力にも脱帽です。
なので、数話で挫折したという方にこそ、「決めつけは早計だ!」とオカリンのように教えてあげたいですね。判断は是非とも最終話まで見てして頂きたい!と。珍しくそう思える作品でした。
シュタゲに出会えた事そのものが、シュタインズゲートの選択ならば。その選択に感謝したいです(笑


オンエア時からだいぶ遅れてのハマり組で、一巻から集めるのは大変だなぁと思っていましたが、このBOXの存在を知って。特典こそ各巻初回版に比べて少ないですが、本編は全て揃ってますし、未放送の横行跋扈のポリオマニアも収録済みです。お値段的にも、一巻ずつ買うよりはお手頃だったと思います。何より大好きな、それでいて私のバイブル的アニメになったシュタゲを好きな時に好きなだけ見られる。オカリン達に会える。というのは、個人的にとても大きい要素です!
私はこれから、何度も何度もループして。何度も泣いて、何度も笑うんだと思います(笑
シュタゲ、さいこーーーーーー!!!
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