取り急ぎ感想を。
アニメ「K」の外伝的小説、『K -Lost Small World-』を漸く読みました。
いやはや、総ページ数約400ありまして…。時間的余裕も然程ない身である為、一気読みは到底叶わず。。。3日近く費やしまして読破致しました。
当初、この一冊を購入するのに、ひじょーに悩んだわけではありますが…。その理由の一つとして、やはり内容の情報収集でした。
買うべきか見送るべきかを決めるうえで、他の方の感想やレビューをかなり拝見しましたが、まぁなんというか、かなり偏りがあるように感じました。面白い!と絶賛される方がいらっしゃる一方で、肝心の部分が本編と繋がっていない・スッキリするどころか余計もやもやしたと批判されていらっしゃる方も見られました。
更に、色々と情報を集めていると、不思議と密林では酷評が大半を占めているんですよね。かなり辛口の内容が見受けられました。逆に個人ブロガーの感想や、他の通販サイトでは軒並み高評価を残す傾向が強く、情報を収集しているうちに「面白いのか面白くないのか」「読むべきか読まざるべきか」がどんどん解らなくなってしまいました。(その為の情報収集の筈が、本末転倒な事をした感…)
結局、あれこれ考えたり、懸念もかなり残してはいたのですが、これだけ評価に偏りがあると、もう読む人によるんだろうなと思い、「読んでみなければ自分に意義があるかは解らない」という結論になり購入致しました。
全てを読み終えた感想を、大まかに一言で言うならば。
私にとってはとても面白いお話だったと思います。
勿論、諸手を上げて絶賛するには少しばかり「ん?」と思う部分もあるので、大絶賛とまではいかなかったのですが。それでも未熟な少年達の心の揺らぎであったり、藻掻きであったり、歪み、期待、絶望。そういうダイレクトに響く感情をお話の中で感じられて、食い入るように最後まで読ませて頂きました。総評として「面白かった」と言えます。
GoRAさんの公式サイトで、このロスモアの著者担当である壁井ユカコ氏を「歪んだ少年を描くのが上手い」と評された紹介分が掲載されておりましたが、確かにこれだけ歪んだ、或いは読み手に対してストレートな語彙で以て、人間の感情の醜さや恐ろしさを突き付けてくるとは。上手いと書かれていた事に、妙に納得してしまいました。
この一冊で判明する事は、八田と伏見がどのような形で出会い、友達として絆を深めていったのか。どうして吠舞羅に入る事になったのか。何故、セプター4へ転身するに至ったのか。そして、何故八田と決別したのか。その辺りの事が、緑の王の事などを絡めつつ描かれています。
ですが、この一冊を一回読めばスッキリする。というのとは少し違うのかな、と思いました。
何故なら、多くの感情の変化が付きまとう為(特に伏見)、それを自己消化できないと唯の矛盾しか生まないような物語の流れに思えました。(読者側が主軸になっているキャラの心情や思考を想像しなければならないようです)
まだ劇場版が控えている為、そして今後の派生作品の為に、敢えて…という意図があったのかもしれませんが、所々で立ち止まり「どうしてこう思ったの?」という部分を自分の中で整理していたので、これさえ読めば…!という一冊にはなりきれなかったかなぁと思います。
そうは言いましても、引きこまれる要素も十分ありましたよ。
思春期特有の反発心や葛藤、全能感。少年少女達が、心の何処かで「自分は何を間違えてしまったのか」と薄々気づきつつも、明確な答えには至れず、模索するように歩いていく様は、読んでいて胸にくるものがありました。
ともあれ、「未熟」なんです。伏見も八田も阿耶も。
だから自己完結したり、自分の感情を押しつけてみたり、逆に肝心な事が言えなかったりしてしまうのかな。。。
三者三様に、胸の中で「後悔」している場面が印象的でした。
もう…それぞれキャラクターに関しては、語りたい事が山積みなのですが、どこからどう纏めればいいのか解らないので、その事に尽いては二度目に読み返すこれから、都度感じたことを此処で記していこうかなと思います。(ネタバレにならないようにの配慮はさせて頂きますけどね)
…それにしても、壁井ユカコ氏の作品はこれが初めての拝読だったのですけど、とても個性的な文章を書かれる方なのですね。
同じ段落に台詞→地の文→台詞という構成になっていたり、地の文が途中でモノローグになっていたり…。かっちりした文法を好む方からすると、読みにくいという意見があったのだけど、これか!と納得。
文学の手法なんて、決まりは無いんだし。漫画と同じように、書く人によって違いがあるのは当然の事だと思いますが、とはいえ「自分にとって読み易いか読みにくいか」は一冊読み切る上では大事な事ですな。
独特の書き方を邪道と取るか、個性と取るか。それは読み手さん次第だと思うので、これから読むつもりの方がいらっしゃれば、一度GoRAさんの公式HPに掲載されているロスモアのサンプルを一読されても良いかもしれません。どういう文法を取られているか、解ります。
私は最初こそ驚きましたけど、終盤になる頃にはもうすっかり慣れておりました←